能登半島地震で大きな被害を受けた新潟市西区について、液状化した要因を調査していた新潟大学。4月15日、その調査結果を公表し、液状化を繰り返さないための街区単位の復興工事が可能であると示しました。
繰り返す恐れのある液状化。
将来的な防災を見据え、新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授は、地震直後から、「国の復興制度を使い、街区ごとに地盤改良することが有効である」と強調していました。
【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「再建には地盤の改良がお金がかかるが必要。街区単位でまとまって何らかの策ができないか」
卜部教授などは4月12日から6日間にわたり、新潟市西区の6地点液状化の要因を調査。その結果、いずれの地点でも深さ1m~3m部分で液状化していることが示されました。
【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「被災者にとっては1mまで液状化しようが、2mまで液状化しようが、家が傾いている事実は変わらないが、個人的な研究の感覚からすると2mぐらいでよかった。それだと色んな作戦が打てる」
液状化は地下水よりも深いところで起きしますが、今回の調査で地下水が比較的浅い位置にあり、液状化も浅い場所で発生していることが判明。
このため、地下水位を現在液状化している部分よりも2・3m下げ、液状化しない層を確保する工法が選択できると卜部教授は解説します。
また、調査したエリアはいずれも水を通しやすく、砂の分布が連続していることから、地下水位を下げる工法に加え、薬剤をしみこませて地盤を固める工法も可能だとしています。
過去の地震の際にも街区単位で行われてきた液状化対策。
【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「被災した今でしか国の事業を使えない。事前防災には使えない事業なので、今やるしかない」
この調査結果について、卜部教授は新潟市にも報告し、事業の長期化が予想されることから、住民への丁寧な説明を求めました。
【新潟市 中原八一 市長】
「街区単位での液状化対策はこれからの新潟市での安心安全な街づくりのために必要であると。ただし、これについては時間がかかるということをやはり住民の皆様に丁寧に説明していく必要があるというふうに改めて認識した」
新潟市はエリアごとの対策方針を今年度中にとりまとめる考えです。