尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の中間評価と位置付けられる韓国の総選挙は4月10日が投開票だ。韓国で4年に1度行われる総選挙では、小選挙区と比例代表合わせて300議席が争われる。保守系与党「国民の力」が、与党少数のねじれ状態の解消を目指すが、政権批判を強める革新系最大野党「共に民主党」の優勢が伝えられている。
さらに、「国民の力」と「共に民主党」が競り合う構図の中、前政権下で法相を務めたチョ国(チョ・グク)氏も、台風の目として注目を集める。チョ国が立ち上げた新党「祖国革新党」が政権打倒を掲げ、急速に支持を拡大しているのだ。尹政権は、政権運営における安定を図るために、今回の総選挙で第1党の座を狙う。逆に大敗することになれば、任期3年を残す尹政権の求心力が弱まる恐れが指摘されている。前政権下での冷え切った状況から、尹政権は日本との関係改善を実現させたが、総選挙の結果によっては、今後の政権運営に影響は避けられない。
韓国の世論調査機関「リアルメーター」が4月2日から3日にかけて、全国の18歳以上の1004人を対象に実施した政党支持率の調査によると、保守系与党「国民の力」は前回の調査(3月28~29日)に比べ0.6ポイント上昇の36.0%、革新系最大野党「共に民主党」も1.5ポイント上昇の44.6%だった。両党の支持率の差は8.6ポイントで、誤差の範囲を超えた。
文在寅政権は南北融和政策を優先する一方、日韓関係が悪化し、戦後最悪と称された。新政権を担った尹錫悦大統領は、日本との関係改善を図るために尽力し、2023年には訪日するなど、7回の日韓首脳会談を行う実績を残した。日本は韓国への半導体材料3品目について、輸出管理の厳格化措置を緩和した。また、韓国は、懸案となっていた日本と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、正常化することを日本に伝えた。
今年7月のNATO首脳会議では、アメリカ政府が日韓をパートナー国として招く方向で調整しているとされており、その際には日米韓首脳会談の開催も視野に入る。
★ゲスト:武藤正敏(元駐韓大使)、澤田克己(毎日新聞論説委員)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp