きょうから4月、新年度初日を迎えた東京・立川市のスーパーで、値札に「498円が249円 レジにて半額」と書かれた山積みのティッシュ売り場の前で足を止める人たちがいた。
神奈川・川崎市の店でも、半額の“激安ティッシュ”を手に取る人の姿があった。
テッシュを買った40代の女性は「買い出しの日に一気に交通費も入れて、車でですけど一気に買うようにしています」と話す。
ティッシュを扱っていたのは、訳あり品を仕入れ、全品を流通価格の半額以下で販売する“激安アウトレットスーパー”だ。自宅から離れた場所にあっても、車でわざわざ訪れる人が絶えないという。背景にあるのは、“値上げの春”だ。
30代の買い物客は、「やっぱりトイレットペーパーとか、消耗品・日用品、あと食品・油とかです。どうしても使うものが値上がっているので大変ですね」と話す。
紙製品はまさに値上げラッシュで、大王製紙や王子ネピア・日本製紙クレシアは、ティッシュやトイレットペーパーの価格を10%前後値上げする。そのため、全品半額を続けるこの店には、少しでも節約しようとする人たちが殺到していたのだ。
40代の買い物客は、「普段ティッシュは300円を超えてると思います。安いからついつい買ってしまいます」と話す。
半年ぶりとなる値上げラッシュは、食品にも及んでいる。帝国データバンクによると、4月に値上げされる食品は2806品目。朝食やお弁当に欠かせないハムやベーコンは、日本ハムや伊藤ハムなどが値上げする。食品にはお菓子も含まれ、森永製菓は「チョコボール」や「ハイチュウ」などの価格を最大18%引き上げる。
こうした中、2024年度の年金支給額は2023年度に比べ、2.7%引き上げられることになった。引き上げは2年連続で、伸び率はバブル期だった1992年以来、最も高い。
しかし、年金生活者からは悲鳴が上がっている。70代の年金受給者は、「うちも大変ですよ。年金が低いから」と嘆く。月の年金額が平均6万円という80代の受給者に、2.7%の年金額引き上げについて聞いてみると、実際増えるのは1000円ほどだという。「年金アップよりも日用品・生活用品の値があまり上がらないような方がいい」と話す。
また別の80代の年金受給者は、「“すずめの涙”じゃないけど足りっこない。それくらいじゃ。物価の上がり幅の方が全然大きい」と話す。
厳しい状況は、今後も続くのか?第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは年金支給額の今後について、「物価賃金が上がっている状況の下では、年金の伸びは物価賃金の上昇に追いつくことがなく、実質的な年金受給額はどんどん減っていく」とみている。
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