小林製薬の紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントで健康被害が相次いでいる問題。厚生労働省と大阪市は30日、原料を製造していた工場に立ち入り検査に入りました。(3月30日OA「サタデーステーション」)
■製造工程など検査か
小林製薬製造本部 山下健司本部長(30日・大阪市)
「弊社としては全面的に協力し、誠実に対応を進めていきたいと思っております」
小林製薬の紅麹を使ったサプリメントをめぐっては、これまでに5人が死亡、100人以上が入院しています。30日、厚生労働省と大阪市が立ち入り検査に入った工場は、去年12月まで紅麹の原料を製造していましたが、建物の老朽化などを理由に閉鎖していました。
「およそ5時間にも及ぶ検査を終え、厚労省の職員が出てきました」(報告・佐野ななみ記者)
報道陣に検査内容を聞かれた小林製薬の幹部は…
小林製薬製造本部 山下健司本部長(30日・大阪市)
「我々は今、検査を受けている立場ですので、内容についてはお話できる立場にないと考えております」
Q工場内はどういった状況?
「申し訳ございません、そちらもちょっと…」
Q実際現場で関わられた方のお話の聞き取りは?
「いえ、その辺りもちょっとこちらでは差し控えさせていただきます」
厚労省は、原因究明の手がかりになる資料がないか、製造工程などを入念に検査したとみられています。31日は、設備が移転された和歌山県内の工場に立ち入り検査する予定です。
海外でも影響は広がっています。中国の消費者協会は、当該の商品について、越境ECサイトの利用や日本の店舗で購入されたものが持ち込まれた恐れがあるとして摂取を直ちに中止するよう注意喚起しています。
■海外の専門家を独自取材
紅麹をめぐっては、一部の原料やサプリに含まれていた「未知の成分」が、青カビから生成する「プベルル酸」の可能性があると、小林製薬が厚労省に報告していたことが明らかになっています。プベルル酸が検出されたのは、2023年4月から10月の間に製造された紅麹原料であることも分かっています。
小林製薬製造本部 山下健司本部長(29日・大阪市)
「弱いながらも青カビからの生成の可能性があるというところまで我々認識しておりますので、カビが入るところがないか、いま製造ライン全てにおいて総点検をしているという状況でございます」
国内では、あまり研究が進んでおらず、厚労省も人体への影響など、不明な点が多いとしているプベルル酸。そこで、サタデーステーションはプベルル酸の研究をしている海外の大学教授に話を聞くことができました。
エジプト・ダマンフール大学 アブライラ教授
Qプベルル酸の毒性について教えて下さい
「プベルル酸を体内に取り込むと、腎臓に悪影響を及ぼす可能性はあります。実験では、安全対策として手袋やマスクなどを着用します」
ただ、人体への影響についてはほとんど研究が進んでいないそうです。厚労省は、プベルル酸が健康被害の原因の可能性は一定程度あるとしつつも、ほかに原因となり得る物質がないか、検証していくとしています。
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高島彩キャスター
「分からないことが多く、不安が広がっています。日を追うごとに健康被害が増えていますが、改めて、この「紅麹サプリ」を巡る経緯を見ていきます」
板倉朋希アナウンサー
「小林製薬が腎疾患の健康被害を初めて把握したのは1月15日でした。医師からの報告が、きっかけだったそうです。その後、医師と面談をし、また、様々な調査を行っていくなかで「想定しない成分」がサプリに含まれている疑いが強まりました。そして、3月22日に1回目の会見を行い、「紅麹コレステヘルプ」など3製品の自主回収を発表し、使用中止を呼びかけました。さらに、3月26日の火曜日に最初の死亡事例が発表されました。そして、3月29日に2回目の会見を行い、「想定しない成分」の一つが「プベルル酸」という物質の可能性があることがわかりました」
高島彩キャスター
「あくまで経緯ということですが「紅麹サプリ」と「腎疾患」に因果関係があるかどうか、まだわかっていないんですよね」
板倉朋希アナウンサー
「はい、わかっていませんが、その小林製薬は健康被害の状況を発表しています。亡くなった方がこれまでに5人いらっしゃって、入院した方が114人いるということです。そして寄せられている相談件数については、1万5000件を超えているということです。また、「紅麹」を直接卸している会社が52社あって、そこからさらに仕入れて製品にしている会社が173社あるということです」
高島彩キャスター
「相談件数1万5000件というのを見ても、不安に思っている方がたくさんいるんだろうなということが分かりますし、まだ原因がわからない、そして被害の全容も掴めない。消費者としては、不安がどんどん積み重なっていきますよね」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「肝心なことがまだ何も分かっていないんですよね。原因を特定する為にもまだ時間がかかりそうだと。このままだと、不安だけが独り歩きしてどんどん広まってしまうことになりかねませんから、そういった意味で言うと、適切な情報開示の在り方という事がますます重要になってくるのではないでしょうか」
高島彩キャスター
「分かったことがある時点で少しずつ情報開示していくのが良いのでしょうか」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「タイミングは非常に難しいと思うんですけど、あまり(情報を)せき止めずに、ここまでは分かりました、ここが分かりませんという情報の提供の仕方もあると思います」
高島彩キャスター
「政府は今後、機能性表示食品について、国の関与のあり方など、5月末までに取りまとめるように指示しています」
厚生労働省・消費者庁
紅麹を使用した製品に由来する健康被害について電話相談窓口
03-3595-2760(受付時間:午前9時~午後9時 ※土日祝日も対応)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp