裏金問題を巡り、自民党執行部は党紀委員会に対して39人の議員の処分の審査を要請しました。安倍派幹部だった塩谷立氏と世耕弘成氏には、「離党勧告」の重い処分も検討されています。
■金額による線引きに…不満あらわにする議員も
岸田文雄総理大臣
「私は人生において、無駄なものはなにもないと信じています。どんな苦難であっても、必ずやそれぞれの人生において意味があると信じています」
1日、国会で新社会人に向けてメッセージを送った岸田総理。“裏金問題”を巡り、自民党は今まさに苦境に立たされています。
立憲民主党 田名部匡代議員
「約40人を党紀委員会で処分する方向で調整に入ったという報道があった。この事実関係について教えてください」
岸田総理
「きょう(1日)も、聞き取り調査を行っている最中であります。その状況を踏まえたうえで政治責任についての判断、すなわち処分について考えていく、こういった手続きに入っていきたい」
処分の内容について1日、明らかになったのは…。
自民党 茂木敏充幹事長
「幹事長として、党紀委員会の開催を要請することとした」
党紀委員会とは、所属議員の処分を決める自民党の正式な機関です。
処分の対象となるのは、キックバックを裏金化していた安倍派と二階派の議員ら85人のうち不記載が500万円以上だった人と安倍派の幹部、合わせて39人です。
茂木幹事長
「(Q.額を500万円に設定した理由は)5年間で500万円は、年間3桁に上る。こういう方については管理責任等々、検討する必要がある」
不記載額が500万円未満の議員は処分せず、茂木幹事長による注意にとどめるとしました。
しかし、金額による線引きに不満をあらわにする議員もいました。
自民党 菅家一郎議員
「正直言って、私は不記載ではなくて誤記載。そういった意味で、リストに載るのは非常に不満。正直申し上げて」
菅家議員は1289万円のキックバックを受けましたが、「派閥から収支報告書に記載しないよう求められた」ため、個人名義の寄付として記載を行ったと主張しています。
菅家議員
「党本部の決定でありますが、非常に分かりづらいし、私の取り扱いも含めて、非常に不満だと思っています」
安倍派でキックバック再開を協議した幹部4人には、「選挙の非公認」以上の処分が下される方針です。塩谷氏と世耕氏については、2番目に厳しい「離党勧告」の処分が検討されています。
■塩谷氏に「離党勧告」なら…政治生命を左右する事態に
今回の処分の内容について、専門家は次のように話します。
政治ジャーナリスト 田崎史郎氏
「現在の選挙制度は政党中心の選挙ということになっている。政党から公認されないと、不利な措置をうける。自民党としては十分重い処分になる」
なかでも、塩谷氏にとって「離党勧告」の処分が下されれば、政治生命を左右する事態になりかねないといいます。
田崎氏
「塩谷氏については、前回比例で復活当選ですから。離党勧告を受けるということは、比例代表の重複立候補はできない。非常に不利な立場に置かれます。(小選挙区では)本人の力量の問題で、かなり厳しいと思う」
2021年の衆院選で立憲民主党の源馬謙太郎氏との一騎打ちの末、2万票以上の差をつけられ敗れた塩谷氏は、比例復活で当選しています。
地盤である静岡の自民党議員からも、厳しい見方が出ています。
静岡の自民党地方議員
「塩谷氏は結構、自民党の勢いによって勝ったり負けたりというのがあった。今の状態というのは、今までの中で一番厳しい状態ではないか」
静岡の自民党地方議員
「先代から引き継いできたから、自民党ありきの選挙しかずっとやってきていないので、無所属ということになるわけですよね。想像がつかないですよね。どうやってやるのかなって」
■二階氏は処分の対象外…茂木氏「自ら政治責任とり…」
一方、不記載額が3526万円と最も大きいにもかかわらず、処分の対象から外されたのが自民党の二階俊博元幹事長です。
二階元幹事長
「お前も、その年くるんだよ。馬鹿野郎」
茂木幹事長
「自ら政治責任をとり、次期衆議院選挙への不出馬を表明したことから、党執行部としてはこの判断を重く受け止め、党紀委員会への申請要請をしないこととした」
39人への処分内容は、4日に決定される見通しです。
(「グッド!モーニング」2024年4月2日放送分より)
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