シリーズ「現場から、」です。中国資本による経済開発が進むラオス。ただ、国境地帯のある経済特区をめぐっては、人身売買などの犯罪の温床になっているとして各国が警戒を強めています。その実態を取材しました。
タイとラオスの国境を隔てるメコン川。ラオス側へと渡っていくと…
記者
「対岸に大きなビルやホテルが見えてきました」
高層ビルが建ち並ぶ都会のような街並み。
ここは、ラオスのボケオ県にある「ゴールデントライアングル経済特区」です。といっても、ラオス政府が開発しているわけではありません。
記者
「色々な国にチャイナタウンがあると思うんですけど、ここはその比じゃないですね。中国の一都市に来たような感じがします」
2007年にラオス政府との間で観光開発契約を結んだ中国の投資家らが、土地を99年間で借り受け、開発を進めているのです。
アジアで最も貧しい国のひとつとされるラオスでは、巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国から多くの融資を受け、2021年に「中国ラオス鉄道」が開通。中国マネーへの依存が深まっています。
経済特区の主要通貨は中国の「人民元」。
中国人が住むコンドミニアムなども数多く建設されていました。
市民
「街が発展しているからいいことだと思う。道路も整備されて、観光客も増えてきたから収入も上がっている」
一方、別の住民からは…
市民
「(この街は)怖いです…」
派手なネオンが印象的なカジノホテル。香港に拠点を置く企業が運営し、中国人の富裕層らでにぎわっていました。
ただ、実態は中国マフィアによる犯罪の温床とみられ、アメリカ政府は、“カジノの求人募集で外国人らをだまして、オンライン詐欺に加担させるなどの人身売買が横行している”と指摘。制裁として運営企業の資産を凍結しました。
人身売買被害者の支援団体 NGO「AAT」の担当者
「被害者は暴力的なビデオなどを見せられ、恐怖を植え付けられている。女性は『働かなければ風俗店に売り飛ばす』と脅される。中国政府にも対応を求めたいが、中国側は犯罪が横行していることを認めようとしない」
韓国メディアによりますと、韓国外務省は1月、ゴールデントライアングル経済特区への渡航を禁止する措置を決定しました。
また、ラオスの日本大使館も「外国人を被害者とする求人詐欺が多発していて、治安当局による救出や解決が容易ではない」として注意を呼びかけています。
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