中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が5日から、北京で開幕した。李強首相は政府活動報告で、主な所期目標として、今年の国内総生産(GDP)成長率を、昨年と同じ5%前後に設定した。李強首相は、「今年の目標達成は容易ではなく、的確な政策を講じる必要がある」と政策推進を強調した。中国の2024年の国防予算は1兆6655億元(約34.8兆円)に上り、前年比7.2%増で、軍備拡大の姿勢が鮮明となった。
中国政府が掲げる5%前後とする2024年の経済成長率目標の達成に向けて、金融緩和実施の可能性が出てきた。中央銀行にあたる中国人民銀行の藩総裁は6日、「預金準備率を引き下げる余地がある」と述べた。また、人民銀行は2月5日、預金準備率を0.5%引き下げ、1兆元(約21兆円)の長期資金を放出した。今年、超長期特別国債1兆元(約21兆円)相当の発行を計画している。市中に出回る資金を増やすことで、融資の機会拡大を促進させ、景気停滞に対応する。
懸案となる不動産市況の悪化が、中国経済に暗い影を落としている。巨額の負債を抱えている中国の不動産大手、中国恒大集団が1月29日、負債総額3000億ドル(約45兆円)を抱え、香港の高等裁判所から清算を命じられた。また、中国には、不動産関連の「佳兆業集団」、「碧桂園」など多額の負債を抱えた企業が多数あり、債務不履行や債務再編などの難題に直面している。国家統計局が発表した2024年1月の主要70都市の新築住宅価格は、前月比で価格が下落したのは、全体の80%にあたる56都市となった。また、2月の新築住宅販売額は前年同月比で60%減と急減した。全人代で李強首相は5日、不動産危機に言及し、「不動産企業に対する正当な資金需要を平等に満たすことで、不動産市場の安定的で健全な発展を促進する」と改善策を示した。
中国国家統計局によると、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を示す消費者物価指数は、前年比で0.8下落し、4カ月連続のマイナスとなった。デフレ圧力の傾向が継続する。中国経済が停滞する中で、飲食店では「貧乏人セット」と称される格安メニューが注目を集め、激安ブームが起こっている。この格安メニューでは、お粥食べ放題で60円、揚げパン50円、野菜炒め50円、ゆで卵50円。このブームの影響を受けて、北京市内には、激安の定食を提供する飲食店185店舗がオープンし、この1年で店舗数が増加している。また、賞味期限が迫る食料品を、定価の6~7割程度の格安で販売する店舗が急増している。生活費が高騰する都市部で人気が集まり、市場規模は急拡大し、2年後には、約1兆円に迫ると予測されている。
★ゲスト:津上俊哉(日本国際問題研究所客員研究員)、阿古智子(東京大学教授)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp