中国の先行きに影を落とす事態が、中国本土から遠く離れた意外な場所で起こっていた。
アメリカとメキシコの国境には巨大な壁が作られていて、簡単には乗り越えられないようになっている。
これまで、この国境付近で目立っていたのは、不法入国を試みる中南米諸国の人々の姿だった。
ところが、3月、FNNの取材班が訪れると中国語で書かれた薬や商品のパッケージなど、中国人の痕跡がそこかしこに見られた。
アメリカに入国を試みた中国人らしき一行。
中には、なぜか成田空港にある店の袋を持つ人がいた。
その1人に、質問を重ねてみると「安徽省から来ました」と答えた。
中国ではなく日本の取材チームであることを知り、安堵(あんど)した様子の中国人男性。
明かしたのは、アメリカにたどり着くまでの驚きの道のりだった。
不法移民「中国を出て2カ月です。2カ月かかりました。マカオ・香港からモロッコを経由しました」
中国からマカオ、香港そしてアフリカのモロッコを経由して、南米エクアドルへ。
さらに、北米大陸を歩いて北上しこの国境にたどり着いたという。
中国からアメリカまでかかった期間は2カ月。
かかった費用は、日本円で160万円以上だという。
これは、別の中国人がSNSにアップした動画。
アメリカ入国を目指し、中米のパナマを歩いて移動しているとされる様子が記録されていた。
また、大勢の人と一緒に濁った川を渡っていく様子が収められていた。
なぜ、彼らはここまでの苦労をしてまでアメリカへの不法入国を試みるのだろうか。
不法移民「自由と民主主義を求めてです。中国ではわたしは無職でした」
メキシコから陸路で国境を越える中国人は、2021年から2023年にかけて約50倍に急増。
移民の世話に取り組むボランティアは、1日で数百人単位の中国人不法入国者を目にすることもあるという。
ボランティア「彼らは経済のために中国を去ったと言うんです。お金を稼げなくなったので、家族が持っているものすべてを現金化してアメリカに来たと」
FNNプライムオンライン
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