自民党の裏金事件を巡り納税者から怒りの声が上がるなか、確定申告の窓口で働く人たちは困惑しています。
■クレームに税務署アルバイト女性も困惑…
税務署で働く女性(20代)
「『クレーム言われた時は職員に言って』とは言われていたが、やっぱり言いに来る人はいました。自分らに言われても怖いなっていうのはある」
こう話すのは、16日から税務署で確定申告の受付のアルバイトをしている女性です。書類を提出に来た男性から突然、こんな言葉を浴びせられたといいます。
税務署で働く女性
「『納税で自分らがこうやって確定申告を出しに来ているのに、なんで国会議員の人らは出さんの』みたいな。『国会議員が納めてないのに、何で自分らが納めないけんのや』みたいなことは言っていた。一言ボソッと言うかんじです」
クレームに困惑した女性。次のように答えるのが精一杯だったといいます。
税務署で働く女性
「『自分たちもそれは良くないとは思ってるけど』みたいなふんわりとした回答しかできないですけど、どこに言えばいいのか分からないから、税務職員にみたいな。そういう理由というのは何となくわかるが、こっちも困るという感じ」
■国民も怒り爆発寸前「不信感しかない」
確定申告を前に国民にこう呼び掛けた岸田文雄総理大臣。
岸田総理
「納税者のみなさま方に、法令にのっとり、適切に申告納税を行うようお願い申し上げたい」
「裏金は納税の対象ではないのか」と国民の怒りが爆発寸前です。納税者からは現在の政権に対して多く不満の声が聞かれました。
80代
「自民党はおかしいよ、やり方が。きちんと説明してほしい」
70代
「正しくやってほしいけど、私の声は届かない」
「納得感はないが、仕方がない。義務なので。もう不信感しかない」
■国税庁「守秘義務」で税務調査明らかにせず
国会でも、裏金は納税の対象だとして野党が批判を強めています。
立憲民主党 江田憲司議員
「何千万円もの裏金を受け取っておきながら、どうして犯罪にならないのか、どうして脱税が問えないのか。税金一揆が起こりますよ」
自民党は、15日にいわゆるキックバックの不記載などがあった国会議員は85人で、総額5億7000万円を超えるとする調査結果を発表しました。
立憲民主党 末松義規議員
「修正申告の85人について税務調査をやりましたか?」
国税庁次長
「個別の事柄につきましては、答えを差し控えさせていただきます」
国税庁は守秘義務があるとして、税務調査を行ったかどうか明らかにしていません。
■政治家の税務調査 専門家「ハードル高い」
実際、政治家への税務調査は行われることはあるのでしょうか?専門家はこのように話します。
元国税調査官・税理士 松嶋洋さん
「政治家なので、非常に相手がデリケートなので、税務署の一存ですぐ調査しますということはなかなかしづらい。想定と食い違うことはよくあることで、あなた脱税的なことやってますといって、実際やってませんでしたとなると、政治家は反撃もしてくるでしょうし、名前が売れているだけに大事になる可能性が高い。そういう懸念は当然ある」
さらに、政治団体が集めた政治資金は原則非課税であることや、その使い道が政治活動だったのか、個人的なものだったのかを明らかにすることが難しいため、政治家への税務調査はハードルが高いといいます。
■クレーム受けた女性「納税者のお手本に」
一方で、確定申告の際に納税者からの批判の矢面に立たされている税務署の職員。実際にクレームを受けたアルバイトの女性は、今後もこうしたことが続くことを覚悟していると話します。
税務署で働く女性
「税務署がどうのこうの言われたらちょっと傷ついたりする。そういうものと割り切ってやっていくしかない。もう仕方ないものだと思って」
「政治と金」の問題で、煮え切らない対応を続ける政治家については…。
税務署で働く女性
「説明責任を果たして、ちゃんと納税者たちのお手本になるように。そういう行動を心がけてほしい」
(「グッド!モーニング」2024年2月20日放送分より)
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