液状化の被害が深刻な石川・内灘町。
ドローンで町を見てみると、地震の揺れによる建物倒壊とは異なる被害の実態が浮き彫りとなった。
亀裂が入ったコンクリートの地面からあふれ出した茶色い泥水。
家や田畑など、街の至るところで液状化が起きていたことが確認できる。
さらに低空飛行で見てみると、激しく波打つ道路や、家の塀が大きく傾き植えられた植物が道路にはみ出していることが確認できた。
内灘町は、地震から1カ月以上たった今も被災住宅は1,463棟にのぼっている。
内灘町民「今まで一生懸命してきたけど、そろそろこんな生活も疲れた」
町のこれからに不安が広がる中、特に被害が大きかった地区ごと“集団移転”する案も浮上している。
内灘町は、隣接する金沢市から車で20分ほどの位置にあり、ベッドタウンとして栄えてきた。
海水浴場や公園などもあり、子育て世帯が多く暮らしていたが、住宅地の光景は地震で一変した。
地震発生時の映像を見ると、アスファルトに亀裂が入り、地面から茶色く濁った泥水が噴出。
辺りは瞬く間に冠水してしまった。
なぜ、ここまで被害が深刻化したのだろうか。
特に被害が大きかった西荒屋地区を歩いてみると、町の至るところで砂が目についた。
内灘町は砂丘の上にあり、湖を埋め立てた場所にできている。
被害が多かったのは、砂丘の陸側にある住宅街だった。
専門家は、液状化の原因は町の特殊な地形にあるとみている。
防災システム研究所・山村武彦所長「内灘町はゆるい斜面になっていて、液状化の危険性は以前から指摘されていた」
山村氏によると、地震の揺れで地下水に砂に混じって液状化。
そこに緩やかな傾斜があったため、低い場所にある住宅地に一気に流れ込んだという。
防災システム研究所・山村武彦所長「液状化対策をすればいいが、しないと液状化を繰り返す可能性がある。住むことが難しい。(液状化対策は)住民全体の合意と予算の負担を県や市がどう対応するのか、リーダーシップの本気度が見られると思う」
再建の見通しが立たない中、内灘町の川口町長からは、被災した地区ごと避難する集団移転案が出た。
内灘町・川口克則町長「極論を言えば、“集団移転”という考え方も出てくるのではないか」
町の外への避難が難しい高齢者を念頭に、町内の別の場所で暮らすという集団移転。
町には今、今後の町づくりの方針を早期に示すことが求められている。
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