横浜市の機械メーカー社長らが逮捕された、不正輸出をめぐるえん罪事件。社長らが損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は捜査の違法性を認め、国と東京都にあわせておよそ1億6000万円の賠償を命じました。
「大川原化工機」 大川原正明 社長
「まずは裁判長が適切な判断をしていただけたものと受け取っています」
「勝訴」の旗を手にして笑顔を見せた「大川原化工機」の大川原正明社長(74)。
2020年、部下ら2人とともに、生物化学兵器に転用できる噴霧乾燥機を不正に輸出したとして警視庁公安部に逮捕され、東京地検に起訴されました。
およそ1年もの間勾留されましたが、初公判の直前になって東京地検は「違法性に疑義が生じた」として起訴を取り消しに。
無実となった大川原社長らが国と都に賠償を求めた裁判で、東京地裁が判決を言い渡しました。
東京地裁
「警視庁公安部の判断は、合理的な根拠が客観的に欠如していることは明らかで、3人を逮捕したのは違法だ。起訴は検察官が必要な捜査を尽くすことなく行われた」
警視庁と検察双方の違法性を認め、およそ1億6000万円の賠償を命じたのです。
相嶋静夫さん
「みなさん元気ですか?早く元気になってみんなに会いたい…」
逮捕された1人、相嶋静夫さん(72)。勾留中にがんが見つかり、逮捕からおよそ11か月後、無実を証明できないまま亡くなりました。
相嶋静夫さんの長男(10日)
「(裁判所に)事実に基づいて、正しく判断してもらう。もうそれしか望むことはない」
真相を知りたいと、相嶋さんの遺族らも参加した裁判。
今年6月には事件を担当した警察官が、証言台で異例の捜査批判をしました。
弁護士
「事件をでっちあげたと言われても否めないのではないか」
男性警部補
「まあ、捏造ですね」
捜査の違法性を認めた判決について、大川原社長は。
「大川原化工機」 大川原正明 社長
「長期の勾留で相嶋さんが亡くなった。本当に我々としては何で逮捕する必要があったんだろうか。身柄拘束する必要があったんだろうかっていうこと。これが一番悔やまれる」
東京地裁は亡くなった相嶋さんの遺族について「夫、父との最期を平穏に過ごすという機会を、国と都の違法行為により奪われた」と指摘しました。
相嶋さんの長男は判決後、時折、涙ぐみながらこう語りました。
相嶋静夫さんの長男
「お父さんが作った製品は疑われるような製品じゃなかったということが、最終的に確定したということをしっかり伝えたい」
判決を受けて警視庁は、「判決内容を精査した上で、今後の対応を検討する」としています。
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