中国で11月11日は「独身の日」としてネット通販各社による大規模なセールが行われます。今年は景気の鈍化を背景に例年の「爆買い」から変化が起きています。
■景気鈍化で“爆買い”に変化
11月11日は中国では「独身の日」と呼ばれ、毎年、ネット通販各社が大規模なセールを行っています。1時間あたりの売り上げが1兆円を超えるなど中国の“爆買い”を象徴する「独身の日」に今年、異変が起きたというのです。
市民:「(Q.今年の“独身の日セール”は何か買いましたか?)何も買ってないです」「今年は貧乏だから何も買っていない」
セールは10月下旬から前倒しで開始されるようになり、売り上げが伸びていますが、アメリカのコンサル会社が中国在住の3000人を対象に行ったアンケートでは、77%が去年よりも消費を増やさないとしています。専門家は、中国の若者に変化が起きていると指摘します。
東京財団政策研究所 柯隆主席研究員:「(売り上げは)伸びたことは伸びたけど、伸び悩んでいる。不必要なものを節約する傾向が強くなっている」
今年の「独身の日」の特徴は、家具や家電製品など高額な商品の購入が減り、ティッシュやハンドソープなど生活必需品が増えたといいます。“爆買い”から“理性型消費”にトレンドが移ったというのです。
中国では不動産金融が悪化していて、ロイター通信によりますと、中国の不動産開発大手の恒大集団がおよそ50兆円の負債を抱え、マンションやテーマパークの建設現場がストップするなど混乱も起きています。
東京財団政策研究所 柯隆主席研究員:「中国の不動産バブルは崩壊したんです。内装、家具など広く捉えた不動産業の場合、中国のGDPに占める割合が30%に達するといわれている」
■中国「若者の失業率」上昇
また、不景気の影響で中国の16歳から24歳の「若者の失業率」が上昇していて、6月の失業率は21.3%にまで達しました。中国当局は、7月から若者の失業率の発表を取りやめてしまいました。
東京財団政策研究所 柯隆主席研究員:「3年間のコロナ禍で、中国の中小零細企業約400万社が倒産したといわれている。400万社も潰れて、若者の失業率が一気に上がった」
■円安でも日系企業が人気
そんななか、中国の若者に人気なのが日系企業だというのです。
今、日系企業は円安により、欧米の企業よりも給料が安いと言われています。それでも日系企業を志望するのは安定を求めているからだといいます。
日系企業側担当者:「皆、安定を求めています。公務員になるか、大学を卒業して修士・博士コースに進学する人がとても多い」
日系企業への就職を考えている、就活生の賀雨菲さん。面接では流暢(りゅうちょう)な日本語で自己紹介しました。
就活生 賀雨菲さん:「私は賀雨菲と申します。北京第二外国語大学の日本語専攻です。貴重な面接の機会を頂き、ありがとうございます」
面接が終わって一安心です。
就活生 賀雨菲さん:「かなり緊張しました。思ったより仕事の経験が求められています。多分、無理かもしれません」
中国経済の失速は、日本にも大きな影響を与えるといいます。
東京財団政策研究所 柯隆主席研究員:「日本経済、日本企業は最も中国のマーケットに依存しているので、対中国の輸出が難しくなることが考えられる。ややグッドニュースもある。人材不足、人手不足が日本の悩み。中国から一流の人材を引き付ける努力を日本はやるべきではないか」
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