政権発足から今月4日で丸2年となった岸田総理。今月末に新たな経済対策を打ち出すとしていますが「税収増を国民に還元する」という発言をきっかけに、自民党内では減税論が沸き起こっています。
岸田総理:「(Q.与党内から所得税減税や低所得者向けの給付金の案が出ているが)成長の果実を還元することも含めて、税制、給付、社会保障における様々な軽減措置、インフラ投資、その他あらゆる手法を動員して、思い切った(経済)対策にしたい」
今月4日も繰り返された“還元”という言葉。きっかけは先月25日です。
岸田総理(先月25日):「今こそ、成長の成果である税収増等を国民に適切に還元する」
岸田総理(今月3日)「経済成長の成果を的確に還元する」
総理の言う“還元”。当初は賃上げを促す企業向けの減税のことだとみられていましたが、企業ではなく、直接個人を対象とした減税に、党幹部が次々と言及しました。
自民党 茂木幹事長:「税収増を、そのままダイレクトに減税措置等で国民に還元する」
自民党 世耕参院幹事長:「所得減税については、実質賃金のマイナスが続くなかで、手取りを増やしていく方向性だ」
自民党幹部から“減税”をめぐる発言が相次いだことを受けて、勢いを増すのが積極財政派です。
自民党 中村裕之衆院議員:「本当に今、物価高に苦しんでいる生活者の皆さんに、減税の実感が伝わるような形を取っていただきたい」
自民党 青山繁晴参院議員:「消費減税をタブーにするかのような議論は間違いだと」
自民党有志の議員は政府に対し、消費税を時限的に5%に引き下げることを求める提言を決定しました。さらに、経済対策の財源の裏付けとなる、補正予算案に関しては、20兆円規模を要求しています。
自民党 谷川とむ衆院議員:「地元まわっていても、やっぱり『生活苦しくなったよね』とか。決して20兆円が、今の日本経済にとって大きいとは思わないし、やるべきだと思います」
ただ、補正予算はコロナ禍以前には数兆円規模でした。この数年はタガが外れたように、前例のない規模が続いていますが、6月にまとめた政府の骨太の方針では「歳出構造を平時に戻していく」とうたっています。
突如巻き起こった減税議論と、強まる歳出圧力に、自民党内からはこんな声も…。
自民党閣僚経験者:「これから防衛費や少子化対策の財源を明確にしていかないといけないなかで、減税するなんて、ただの選挙目当てのポピュリズムでしかない」
岸田総理の思惑はどこにあるのでしょうか。
千々岩官邸キャップ:「岸田政権は発足当初から“財務省寄り”と揶揄(やゆ)されてきた。加えて、去年の防衛増税の議論があり『増税政権』の批判が広がっていた。総理自身も気にしていたので、払拭するための今回の減税論。もう一つはやはり選挙。岸田総理は当初から、この秋の解散・総選挙をにらんでいたので、選挙に向けたアピールというのが2点目」
減税論の行方は…。
千々岩官邸キャップ:「岸田総理自身が『減税』というキャッチーな言葉を打ち出したため、自民党内でも議論百出といいますか、減税論が独り歩きしている状況。あまり盛り上がりすぎると、実際に結論が出た段階で肩透かし、期待外れに終わる恐れもありますので、岸田総理は若干戸惑いも感じているのではないか」
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