地球温暖化による海面上昇を受けるマーシャル諸島共和国は、2100年までに「居住不能」になると言われています。気候変動により沈みゆく島、現地を取材しました。
太平洋に浮かぶ島『キリ島』は、赤道付近の島々で構成されるマーシャル諸島共和国の一部です。
蛭間鉄平ディレクター:「東京から2日かけて、やっと到着しました。めちゃくちゃ暑いですね」
人口約200人。周囲わずか3キロほどの島は、温暖化による海面上昇に苦しむ島でもあります。2015年2月、キリ島には、かつてないほどの海面上昇が起こりました。海水は街一帯に流れ込み、島の9割が浸水しました。あれから8年。集落をたずねると、島の生活は落ち着きを取り戻したようにも見えます。しかし…。
蛭間ディレクター:「島の北側にある海岸です。辺りを見ると、ヤシの木が何本も倒れています。少しずつ、島の侵食が進んでいるのが分かります。この辺りは午後になると、一面が水で沈んでしまいます。島の人に話をきくと、以前はもっと陸地があったということです」
ヤシの木は、根っこがむき出しになり、横向きに。さらに、内陸部にも異変が…。
島民:「ここを見てほしい。海水があそこから入り込んで、湖のようになってしまったんだ」
海水が海岸を乗り越えて陸地にたまり、湖のようになっていました。世界気象機関によりますと、世界の海面は年々上昇し、30年間で10センチ以上高くなっています。しかも、その上昇スピードは、90年代に比べて2倍以上に。海抜2メートルのキリ島は「2100年までに居住不能になる」と言われています。島に残るか、離れるか。キリ島の人たちは、難しい決断を迫られています。
アゴスティンさん:「自分の家と家族を守るために、自分で波よけの壁を建てました。政府は助けてくれなかったけど、どんな状況でも自分でやるしかない」
100万円以上かけて作った石の壁。それでも安全というわけではありません。
アゴスティンさん:「移住も考えたが、ここは私の島です。愛着があり、島から出たくない。ここで、ずっと暮らしたいのです」
一方で島を離れる決断をした人たちも…。
蛭間ディレクター:「こちらは以前、牧場として使われていた所ですが、持ち主が島を離れたため、今は使われていません」
島の至る所にあったのは、何軒もの空き家。島の人口は、8年前に大規模な浸水が起きてから、半分にまで減っていました。自分たちも、いつか島を離れるかもしれない。先の見えない現実を、島の子どもたちは理解していました。
子ども:「(Q.みんなはキリ島で暮らしたい?)ノーノー」「アメリカに行きたい」「私も」
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