「忘れることない傷」小渕氏、声つまらせ涙 “政治とカネ”改めて釈明(2023年9月13日)

「忘れることない傷」小渕氏、声つまらせ涙 “政治とカネ”改めて釈明(2023年9月13日)

 内閣改造に踏み切った岸田総理大臣。顔ぶれについて専門家は「解散をにらんだ思惑が見え隠れする」と指摘しています。自民党の選対委員長に就任した小渕優子氏(49)は会見で、政治とカネの問題について「忘れることのない傷」と涙ながらに陳謝しました。

■声つまらせ涙「忘れることない傷」

 女性として初めての大役、その手腕は未知数です。

 自民党 小渕優子新選対委員長:「この度、選挙対策委員長を拝命致しました小渕優子でございます。私の使命は選挙の必勝のために日頃からしっかりとした基盤を作っていくということであると思います」

 選対委員長は自民党四役の一角を占める要職で、女性が就任するのは初めてのことです。

 自民党閣僚経験者:「遅かれ早かれ選挙がある。小渕さんに選対委員長として各地を回ってもらえば自民党の女性登用の顔になってもらえる。選対委員長は彼女の今後のステップを考えてもちょうどいいんじゃないか」

 女性初の総理大臣候補の1人と目されている小渕氏。ただ、本人いわく「決して忘れることのない傷」を抱えています。

 2014年、当時の安倍内閣で経済産業大臣に抜擢(ばってき)されたものの、就任わずか1カ月半で辞任に追い込まれていました。

 小渕優子氏(当時40歳):「暦年の小渕優子後援会の収支報告書の記載には大きな疑問があると言わざるを得ません」

 いわゆる「政治とカネ」の問題です。政治資金収支報告書に架空の寄付金を計上したり、後援会主催の観劇会の収支を改ざんしたりする不透明な会計処理のほか、自らの写真が貼られたワインを有権者に配っていたことから公職選挙法違反の疑いまで浮上。しかし、当時の小渕氏は説明責任を果たすことができませんでした。

 小渕優子氏(当時40歳):「私自身が分からないことが多すぎます」

 東京地検特捜部による家宅捜索の前にハードディスクがドリルで破壊されていたことから「ドリル優子」と揶揄(やゆ)されたことも。この事件を巡っては元秘書2人が政治資金規正法違反で有罪判決を受ける一方、小渕氏については嫌疑不十分で不起訴処分となりました。

 あれから9年が経ちました。

■説明責任問われ「誠意もって…」

 自民党 小渕優子新選対委員長:「(Q.今も説明責任を果たしていないという声は根強くあります。これまでの説明で国民、さらには有権者の理解、納得は得られたとお考えでしょうか?)当時、地元の皆様をはじめ関係者の皆様方に大変なご迷惑やご心配をお掛けを致しました。改めてこの場をお借りして本当にご心配をいただいた、ご迷惑をお掛けした皆様に対して心からおわびを申し上げたいと思います。説明責任というお話でありますが2014年、私自身その中身、どのようなことがあったのかということを説明できる状況にありませんでした。ですので当時、経産大臣を辞任したところであります。そして、その際に説明を後ほどさせていただきたいと申し上げました。翌年2015年の10月19日、私自身が調査を委託していました第三者委員会の結論が出ましたので、その報告書の記者会見を第三者委員会の方でさせていただき、報告書についてもお配りをさせていただいて質疑応答にもお答えをしました。その翌日、2015年10月20日になりますけども私自身、記者会見を開かせていただきました。改めておわびと説明をさせていただき質疑応答も時間の…時間(に制限)なくすべての質問に答えさせていただいて、できる限り誠意を持ってお答えをさせていただいたところであります。その後も有権者に対してということでありますので、地元に戻りまして、700の支部がありますので2年以上かけて一通り回らせていただきました。私自身は誠意を持ってご説明をさせていただいて参りました。しかし、もし十分に伝わっていない部分があるのであれば、それは私自身の不徳の致すところだと考えています。あの時に起こったことは政治家として私がこれから歩みを進めていくなかで、心に反省を持ち、決して忘れることのない傷としてその歩みを進めて参りたいと思います。私自身の今後の歩みを見ていただいて、今後もご判断をいただきたいと考えています」

■「私自身の不徳の致すところ」

 今後、改めて記者会見を開くか問われると…。

 自民党 小渕優子新選対委員長:「もし皆様方から何か私に必要なお話があるということであれば、おっしゃっていただければと思っています」

 小渕氏は経済産業大臣辞任後、3回の衆議院選挙に出馬していますが、いずれも他の候補者を寄せ付けない圧倒的な大差で当選しています。

 永田町は13日の会見をどう見るのか、ジャーナリストの後藤謙次さんは、こう推測します。

 ジャーナリスト 後藤謙次氏:「やや涙ぐむか感極まったところはあったんですが、まだひ弱い頼りない政治家とみるのか、自分の言葉でそういう感情を表にあらわしたということで少し応援してやろうじゃないかと、この2つの見方が交錯するんじゃないでしょうかね」

 これからも聞かれたことにきちんと答えること、それを積み重ねることが説明責任を果たすことにつながると後藤さんはみています。小渕氏が起用された理由については来年秋に行われる自民党の総裁選挙をにらみ、ライバルになる可能性がある茂木幹事長を牽制(けんせい)することだと後藤さんはみています。

 ジャーナリスト 後藤謙次氏:「茂木派の中で小渕優子支持の国会議員がかなりいる。今回の人事によって小渕優子さんは茂木派の後継者たる資格を得たと。言葉は悪いですけども、岸田さんが茂木派の運営に手を突っ込んだと、そういう人事だと言っていいと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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