秋の観光名所に異変です。国の名勝にも指定された澄んだ川が一変、無数の白い泡のような物体で川は濁り、さらには悪臭も。背景には、この夏ならではの事情がありそうです。
■「最悪の事態に」地元が悲鳴
紅葉の名所に異変が起きていました。
店の人:「長門峡汚いです。もう最悪の事態になっている」
困惑の声が上がっているのは山口県にある渓谷「長門峡」です。いつもは透き通っている川に白い花びらのようなものが…。泡です。美しい清流に一体、何が起きているのでしょうか。
■清流が一変“濁り”は200mに
山口市と山口県萩市を流れる阿武川沿いの渓谷「長門峡」。国の名勝にも指定されている景勝地は一変しました。普段はコイが泳ぐのが見えるほど水は透き通っているそうですが…。先月の下旬ごろ、水面の一部にいくつもの泡が浮き上がりました。変わったのは水の濁りだけではありません。
竜宮茶屋 山下明宏社長:「本当に臭い。異常な臭いがする。臭った人はすぐ分かると思う。コイでも見えるくらいの透明度になってくれればうれしい」
県は川の濁りや悪臭を男性の飲食店の上流約200メートルで確認しています。目の前が泡だらけになった飲食店。養殖したアユを使った料理が自慢ですが…。
竜宮茶屋 山下明宏社長:「アユを食べられて料理を食べられた後、(観光客は)必ず『この川、何?』と。とにかくこの泡。汚い」
アユは養殖したもので、濁りや悪臭の影響はないと店は観光客に説明しています。
もうすぐ秋の観光シーズンを迎える長門峡。渓谷の山肌は赤や黄色に染まり、多くの観光客でにぎわうだけに不安は募ります。
■以前の検査“異常なし”原因は
竜宮茶屋 山下明宏社長:「この泡については行政がやることです。調査してから原因をはっきりしていただきたい」
山口県や萩市による水質検査では洗剤などの成分は検出されず、水の濁りの程度を表す「浮遊物質量」に異常はなかったといいます。
一体、何が…。専門家が推測したのは今年ならではの暑さでした。
山口大学 大学院創成科学研究科 関根雅彦教授:「増殖速度が上がって普段よりもよく茂る可能性がある」
ある生物が関連している可能性が浮上しています。
■「猛暑で増殖か」専門家が指摘
先月下旬から無数の泡の発生や悪臭が続いている長門峡を流れる阿武川。その原因について川の水質に詳しい専門家は、こう推測します。
山口大学 大学院創成科学研究科 関根雅彦教授:「河川の中で植物プランクトンや水生植物が普段より茂って、その結果、植物とかからでも泡が出るような成分が分泌されることがよくある。プランクトンが作り出す微量な成分で臭いが付くということがある」
植物プランクトンなどの増殖を引き起こしているというのが今年の猛暑です。周辺では、先月の平均気温が観測史上3位を記録する暑い夏になりました。
山口大学 大学院創成科学研究科 関根雅彦教授:「暑い日が長く続いているので、日射があって温度が上がることによって増殖速度が上がって普段よりもよく茂る可能性がある。原因が植物プランクトンなどの繁殖であれば気温が下がってくれば元に戻る」
県は今後、川の調査を検討しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp