異例の最大32回 京アニ放火殺人事件の裁判員裁判5日初公判 被害者遺族も参加し質問・意見の機会も

異例の最大32回 京アニ放火殺人事件の裁判員裁判5日初公判 被害者遺族も参加し質問・意見の機会も

 36人が犠牲になった京都アニメーション放火殺人事件の裁判が5日から始まります。京都支局から中継です。(取材・報告=藤枝望音記者)

Q:どのような裁判になりそうでしょうか?

 藤枝記者
「今回の裁判は、通常の裁判員裁判と異なる点が多いとみられます。何が異例かと言いますと、まずは、裁判の期間の長さです。今回の裁判は5日から来年1月25日の判決までと、最大で32回の実施となっておりまして、異例の長さとなっています。

 通常、裁判員裁判は一般市民から選ばれる裁判員の負担も考慮し、短期間で実施されます。昨年、全国で行われた裁判員裁判の初公判から判決までの期間は平均で17.5日、審理も5.4回で、今回の裁判がいかに長いかは明らかで、裁判員の心理的な負担も大きくなることが予想されます。

 また、関係者によりますと、今回の裁判では、①被告の動機や犯行に至る経緯②責任能力③量刑、についてと3つの段階に分けて進められ、それぞれの段階で検察・弁護側の冒頭陳述や被告人質問が実施されるという部分も通常とは異なる点と言えます」

Q:裁判においては、被害者のご遺族の方も参加されるのでしょうか?

 藤枝記者
「多くの遺族が被害者参加制度を利用し、被告に質問したり、意見を述べたりする機会があるとみられます。中には、遺族の希望により、裁判で被害者の名前が伏せられる場合もある見通しです。

 憲法では、裁判は『原則公開』とされていて、被害者の氏名も通常、公表されます。一方で、性犯罪などを念頭に『被害者の名誉又は社会生活の平穏が著しく害される恐れがあると認められる事件』では、法律で例外的に匿名にすることも認められています。

 今回の匿名審理の措置を巡っては、先月、大学教授らでつくる研究グループが『規制が強化されすぎて、国民が真実を理解することが困難になりつつある』として、『要件を十分に検討し判断すべき』とする要望書を裁判所に提出するなど、慎重な意見も出されています」
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