中国に“日本病”の兆しが? 中国の不動産バブル崩壊が生む経済の長期低迷への懸念とは【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

中国に“日本病”の兆しが? 中国の不動産バブル崩壊が生む経済の長期低迷への懸念とは【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

いま中国で、不動産バブルの崩壊が懸念されています。バブル崩壊後、かつての日本のような道をたどるのでしょうか。

■中国の不動産不況が深刻

食事にも事欠くほどお金を騙し取られた、と食器を叩き、不動産業者に抗議する市民たち。今、中国では不動産不況が深刻化しています。

記者「こちら、不動産大手『恒大集団』が手がけるショッピングモールですが、コロナ後になってもテナントが入らないままとなっています」

8月、ニューヨークの裁判所に破産を申請した中国の不動産大手「恒大集団」。負債額は50兆円近くに達していました。

そしてSNS上では、「次に破産するのはどこ?」などと、破産の連鎖を懸念する声が…

その一つが、住宅の建設が進まず、賃金未払いを抱え、経営危機に陥った業界大手「碧桂園(へきけいえん)」。

SNSにはマンションの引き渡しが遅れていることに抗議する様子が…

抗議する買い主「契約を守ってくれるなら抗議はしない!」「口だけの説明で信じられるわけないだろ!」

今回の中国の不動産不況。きっかけは2020年、不動産バブルがこれ以上加熱しないよう、政府が融資を規制したことでした。

そこに、ゼロコロナ政策に伴う、景気の悪化が追い打ちを掛け、7月には、新築の住宅価格が各地で下落したのです。

中国国民「みんな不動産を買わなくなっている。あまりお金を使わなくなった」「経済は良くない。(不動産を)買う必要があるか考えるようになった」

■中国経済の停滞

不動産業界は、中国のGDPの3割近くを占めるとされ、今回の不況は、中国経済全体に大きな影響を及ぼすと指摘されています。

実際、4月から6月期のGDPの伸び率は急速に鈍化し、経済の減速が明らかとなっています。

■経済発展してきた中国だったが・・・

振り返れば、1970年代後半、中国が改革開放路線に舵を切って以降、中国は「世界の工場」として、急速な経済成長を遂げました。

2008年には初のオリンピックを開催するまでに発展した中国。GDPでも先進国を追い越し、2010年には日本を抜いて、世界第2位に。

中国資本は世界に進出し、アメリカを代表する企業や、ニューヨークの 高級ホテル、さらにハリウッドの映画会社などを次々と買収。

一時はGDPで、遠からずアメリカを抜くといった予測までなされました。

そうした中、日本でお馴染みとなったのが、中国人観光客による、いわゆる「爆買い」です。

ところが今では…

中国人観光客「私たちはほどほどに買えばいいかなと。そんなには買わない」「中国人はもう以前みたいに、盲目的で衝動的にひたすら買うということはしないと思う」

■中国で懸念される“日本病”とは?

そんな中国で今、ささやかれているのが「日本病」です。

2023年6月、中国の政府系シンクタンクの研究者は、レポートで「中国にも“日本病”の兆しが表れている」と指摘しました。

1980年代、日本中が沸いた空前のバブル景気。しかし、そのバブルが崩壊すると、日本経済は長期に渡り低迷し、いわゆる「失われた30年」に
突入。こうした状況が“日本病”と呼ばれたのです。

実際、中国は日本と同様、少子高齢化が加速しており、去年、人口減少に転じるなど、消費需要の低迷が懸念されています。

そうした中国経済の今後について、専門家は…

加谷珪一氏(経済評論家)「中国からしてみると、“日本病”に陥らないようにというのが、目下最大の関心事。手は打っているんですが、なかなか簡単ではない。不動産バブルが崩壊した場合、これから5年、7年という長期にわたって、2%台程度の成長にとどまるのではないかと」

■中国経済の低迷で日本は…

そして中国経済が低成長時代に入る中、加谷さんはアメリカと中国の分断が、日本にきわめて大きな影響を及ぼすと指摘します。

加谷珪一氏(経済評論家)「バイデン政権は、中国を敵視する戦略に切り替え、できるだけ貿易量を減らそうとしている。と同時にアメリカは基本的に内需で成長する国ですので、それほど大きな影響は受けない。日本は政治の面では、アメリカと同盟国だから中国と距離を置く政策を続けている、一方、経済の方は、日本は中国依存度が最も高い国の一つ。そうなると、日本は相当程度、中国(経済)の悪影響を受ける可能性が高い」

今後、中国経済が低迷する中、米中のはざまで、日本はどんな立ち位置を取ったらいいのでしょうか…

(「サンデーモーニング」2023年8月27日放送より)

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