約48兆円の負債を抱える中国の不動産大手「恒大集団」が破産法の申請を行いました。日本にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。
上海有数の観光スポット「バンド・エリア」の一画は完全に時が止まっていました。開発されるはずだった場所には雑草が生い茂り、足元にはがれきが散乱しています。
3年前、約450億円でこの土地を取得したのは恒大集団。中国の不動産大手です。すでにおととし、資金繰りに行き詰まり、債務不履行に陥っていました。また、ロイター通信によりますと、去年末時点での負債総額は約48兆円に上っていました。恒大集団が放置しているのは上海の土地だけではありません。ニューヨークタイムズは北京に拠点を置く調査会社の調査結果として、販売されたものの未完成の住宅が去年末時点で72万戸あると伝えています。
物件を購入した人:「目が黒いうちに入居させて下さい。家が欲しいんです。入居させて下さい」
大枚をはたいて買ったマイホームにいつまで経っても住むことができない。各地で抗議の声が上がり続けています。
その恒大集団が17日、ニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法15条の適用を申請しました。適用されればアメリカ国内に持つ資産はいったん、差し押さえなどから保護され、債権者と合意のうえ、経営を続けながら会社の立て直しに取り組むことができます。
苦境に陥っている中国の不動産企業は恒大集団だけではありません。北京市内のマンション建設現場に向かってみると、平日にもかかわらず工事は行われていませんでした。
最大手の「碧桂園」は10日、今年前半の最終利益が1兆円前後の赤字に転落する見通しだと発表しました。「資金調達で深刻な困難に直面している」としています。関連産業を含めると、不動産業界が占める中国のGDP(国内総生産)の割合は3割。中国の成長を牽引(けんいん)してきた分野です。何が起きているのでしょうか。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:「一言でいうと30年前の日本と似ている状況になっている。具体的には不動産バブルが崩壊して色々な分野で巨額の不良債権が積み上がり、かなり金融的に厳しい状況になっている」
日本への影響もさけられません。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:「日本から中国への輸出額がこのところ減少を続けているが、仮に日本みたいにデフレに陥ってしまうと、さらに中国向けの輸出が減ったりとか、中国人の日本向けの団体旅行も当初の期待ほど盛り上がらなかったりと、日本経済に及ぼす影響も無視できない」
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