中国の不動産大手が相次いで経営危機に陥るなか、中国国内では未完成の住宅に入居できない人から抗議の声が上がっています。開発が遅れている現場を取材しました。
■中国不動産危機 未完成の現場
広東省広州市に未完成のまま放置されたテーマパークがあります。恒大集団の英語名「エバーグランデ」のおとぎの国と書かれた看板。当初の計画ではホテルやアウトレットモールも併設し、今年オープンする予定でした。「完成すれば世界トップクラスの規模を誇るテーマパークになる」そううたっていたのが、中国不動産大手の恒大集団です。17日、ニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法15条の適用を申請するなど、経営危機が続いています。
■購入者「マンションを返せ!」
11棟が建ち並ぶこちらの高級マンションも当初は恒大集団が開発を進めていました。マンションを購入した人は…。
マンション購入者:「予定では6月の引き渡しでしたが、もう2カ月遅れています。引き渡し時期に関しては話し合っていません」
このマンション周辺を一手に開発する予定だった恒大集団。完成予想模型を見るといかに大規模な開発だったのかがうかがい知れますが…。実際には資金繰りが悪化し、当初の計画が頓挫。救済に乗り出した政府系企業が細々と引き継いでいました。ニューヨーク・タイムズは、販売されたものの未完成の集合住宅が去年末時点で72万戸あると伝えています。
物件を購入した人:「目が黒いうちに入居させて下さい。家が欲しいんです。入居させて下さい」
未完成住宅の購入者は中国政府に救済を求めています。
恒大集団の去年末の負債額は日本円にしておよそ49兆円。1年半ほど前にはデフォルト(債務不履行)に陥り、現在、巨額債務の再編・削減を進めています。今回の破産法申請について恒大集団は18日、「正常な債務再編手続きの一環であり、破産を申請するものではない」と強調。経営破綻ではないとする声明を出しました。
一方、中国の国内メディアは欧米メディアの記事を引用する形で破産法申請を報道。今のところ大きな混乱は起きていません。ただ、中国・広東省にある本社ビルには債権者や未完成住宅の購入者らが集まらないよう、厳重な警備が敷かれていました。
中国では不動産最大手の「碧桂園」も資金繰りの悪化が表面化するなど、不動産不況が深刻化しています。深刻の度を増している中国の不動産不況。日本への影響が懸念されています。
抗議する男性:「私は3000万円払って家を買った。それなのに建ててくれない。ほったらかしです!理不尽です!」
資金不足などでストップしていた恒大集団の不動産建設は今、その多くを国や政府系企業が引き継ぎ、購入者らの怒りを抑えながら何とか軟着陸させようとしています。ただ、不動産業界に国や政府が直接、過度に関与したり救済したりすると市場がかえってうまく機能しなくなる懸念もあり、難しいかじ取りを強いられています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp