岐阜県瑞浪市にあるキャンピングカーメーカーが、車の居住性を高めようと導入した「宇宙技術」。果たしてどんなキャンピングカーをつくり上げたのか、取材しました。
岐阜県瑞浪市のオートキャンプ場にあるのは、キャンピングカーメーカー「トイファクトリー」が運営する「トイの森」。「トイファクトリー」が製作したキャンピングカーのオーナーがキャンプを楽しめる場所です。トイファクトリーのキャンピングカーのコンセプトは「家がそのまま動く快適さ」。手洗い場に、冷蔵庫。大人が横になって寝られるスペースはもちろんのこと、使っている素材にもこだわりがあります。
トイファクトリー営業部 百瀬博昭さん:
「地元愛知県の尾州織の工法で作られたシートの表皮や、フローリングは、地元東濃ひのきを使った天然木のフローリングになっています」
「トイファクトリー」は1995年に創業。車内で快適に過ごしたい、というユーザーの心をとらえて、業績は右肩上がりです。2022年7月期には売上高53億円を記録。10年で4倍になったといいます。大手自動車メーカーからグループ入りの誘いがあるほど、注目される存在です。
トイファクトリー 藤井昭文社長:
「弊社が作ってきた車はわりと外から見たときに派手さがありません。パッと見は普通のバンだが、中は快適な装備を。それも見た目だけでない装備を作っているのがうちの特徴かもしれないです」
トイファクトリーのキャンピングカーの特徴はほかにもありました。真夏の炎天下で2台の車でエアコンをかけ、車内が同じ26度台になったところでエンジンを切って30分後。車内は43度を超えていますが、もう一方の車内は37度までしか温度が上昇していません。一体なぜでしょうか。
百瀬さん:
「ロケットの先端部分でも使われる、セラミック塗料による断熱を塗布しています」
大気圏を突破する際、高熱にさらされるロケットは熱に耐えるための特殊な塗装がされています。その技術を応用しました。キャンピングカーのボディーの内部に塗装すると断熱性が高まり、夏は涼しく、冬は暖かい室内空間をつくり出せるのです。
一方で2023年6月、トイファクトリーが新たに発売したのはマルチユースカー「MARU MOBI(マルモビ)」です。足元のロックを解除するだけで座席などを簡単に移動、着脱することができ、車内のレイアウトが自由自在に。会議室の完成です。さらに、救護室に変えることも可能です。自治体をターゲットに販売します。
藤井社長:
「キャンピングカー業界がずっと上っていくことはないと思います。これからはモビリティーカンパニーですね。1つの車をつくる、特殊な車両をつくる会社に変革していきたいです」
日本経済新聞社 名古屋支社 門岡春花記者:
「キャンピングカーでは断熱性を極め、ユーザーに支持されたトイファクトリー。マルチユースカーでも座席の完全着脱という独自性をどこまで売り込めるかが、成否を分けそうです」
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