「誰一人取り残さない」どう守る?視覚障がい者の防災〈仙台市〉 (23/07/20 19:05)

「誰一人取り残さない」どう守る?視覚障がい者の防災〈仙台市〉 (23/07/20 19:05)

「誰一人取り残さない」防災を目指した取り組みです。視覚に障がいがある人や盲導犬ユーザーの災害時の課題について、当事者が想いを語りました。

7月19日、仙台市青葉区で開かれたセミナー。スピーチをしたのは視覚に障がいがある盲導犬ユーザーです。これは災害時の視覚障がい者への支援を考えるため、東北大学の災害科学国際研究所が企画したもので、19日は東北大学の教職員などおよそ70人が参加しました。

日本盲導犬協会 黒田匠さん
「みなさんにぜひ知っておいてほしいのは盲導犬がいたとしても、困ることはある。盲導犬は何でもできるということではなくお互いが支え合いながら、サポートしあいながら目的地まで歩くのが盲導犬」

盲導犬ができるのは段差や曲がり角を教えること。道案内はできません。19日のセミナーのポイントは「人ができる視覚障がい者の誘導」。参加者たちが体験しました。

参加者が誘導する
「ここがお尻のところで、ここが背もたれです。ローラーが付いていて動くかもしれないので」

盲導犬ユーザー
「丁寧です、ありがたいです」

県によりますと、県内の視覚障がい者はおよそ5000人。盲導犬は21頭が活動していますが、災害時の具体的な支援は置き去りになっているのが現状といいます。

盲導犬ユーザー 鈴木祐花さん
「まずは避難所に行くということでのサポートが必要になると思うが、いざ盲導犬と一緒に避難所に行った時に、周りの方の理解していただくことが大切だと思っていて」

石巻市に住む若山崇さん(54)。東日本大震災のころは目が見えていましたが、現在は全く見えません。

盲導犬ユーザー 若山崇さん
「実際にトラヴィス(盲導犬)と私が、東日本大震災に戻ったとしたら、私は果たして命があったのか本当に分からないです。信号も作動してない状況です。車がバンバン走って、トラヴィスと私が横断歩道渡ろうと思ったら絶対渡ることできないと」

決して万能ではない盲導犬。「いま何が起きているのか」。「どの道を通ってどこに避難すればいいのか」。情報弱者になりやすい視覚障がい者に「人の力」で情報を共有し、地域全体で理解を深めていくことが課題となっています。

参加者
「盲導犬がいろいろやってくれるような印象をなんとなく持っていたんですけど、人と人とのつながり作りが健常者でも大事だが、より大事になってくると思った」

東北大学災害科学国際研究所 栗山進一 所長
「視覚障害の方、ご不便を感じておられて、それに対して我々災害科学を担うもの、どこまで何ができているのか反省は多い。みんなで安心して暮らせるようにしたい」

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