7月16日、17日と各地で猛烈な暑さが予想されるなど異常気象が続いています。
それにも関わらず、原因とされる温暖化への対策は進んでいるようには見えません。なぜなのでしょうか
■日本各地で豪雨や突風
撮影者「石が流れているような音、ゴロゴロという音がずっとしていて…」
7月10日、九州各地で猛烈な雨が降り、すさまじい勢いとなった川の流れ。斜面の一部がみるみると削られていきます。
この日、九州では線状降水帯が発生し、各地で大雨による被害が出ました。
また名古屋では7月12日、ゲリラ豪雨に落雷、さらに最大瞬間風速35.4メートルの暴風を観測。市内の公園では高さ15メートルほどの木が倒れ、道路をふさぐ事態になりました。
同じく12日に竜巻注意情報が出された茨城県では突風による被害が相次ぎました。
近隣住民「凄い突風と大きな風がきた」
倉庫とみられる建物が倒壊。近くの電信柱がなぎ倒されます。こうした雨や暴風に加え、今、日本列島を襲っているのが“危険な暑さ”です。
■各地で危険な暑さ
女性「もうすごい暑くて、周りでも結構熱中症が出てるので、駅から会社までの距離を歩くだけで体調を崩しちゃう人が多いです」
命に関わる危険な暑さ。7月12日には、東京・八王子市で、今年(2023年)、全国一の暑さとなる39.1度の気温を観測するなど、列島各地が連日猛暑に見舞われています。
■観測史上もっとも高い平均気温
そして、世界の平均気温も10日、7月第1週目は、「観測史上、最も高かった」と発表されるなど、世界規模でも異常な猛暑が続いています。
10日、スペインの首都・マドリードでは熱波に襲われ、最高気温が40度に。スペイン南部でも最高気温44度を記録し、一部地域で屋外作業が禁止されました。
またメキシコでは、北西部で6月末に最高気温49度を記録。6月12日から25日の間に、熱中症などで104人が死亡しています。
メキシコ人男性「暑すぎて、ここでも熱波のために亡くなった人がいる」
生命と地球のありようをみつめる科学者・中村桂子さんは…
JT生命誌研究館 中村桂子名誉館長
「ここ数年、本当に極端に変わってきたなという。いまこんなに異常気象が起きているし、明らかに温暖化は起きているし、まさに今の問題だと思う。先の問題ということは、もうこれはあり得ない。一人一人が考えなきゃいけない所にあるというのは、もう紛れもない事実」
■気候変動は自分自身に強く影響?
異常気象による深刻な危機に立たされる世界各国。しかし、いまだ危機意識が高いとはいえない状況です。
2021年に行われた各国世論調査で、「気候変動の影響を自分自身が 強く受けると思う」という人の割合が、2015年と比較して日本は減少しており、増えた国でも4割前後にとどまっています。
■エルニーニョ現象7年ぶり発生
その一方で、この異常気象がもたらす被害がいかに甚大か、それを示すデータがあります。
7月4日、WMO=世界気象機関が7年ぶりにエルニーニョ現象が発生したと発表するなど、異常気象に見舞われる世界各国。
アメリカのダートマス大学は、気候変動で、エルニーニョ現象が増幅され2029年までに経済損失が3兆ドル、日本円で410兆円を超えると予測しました。
■政治に業を煮やす科学者も…
しかし地球温暖化について、いまだ実効性のある対策を打てているとは言い難い状況です。街の人も…
男性「経済活動をしていく上で、どうしてもまだ化石燃料だって使わなきゃいけないし…」
男性「政府とか世界全体で動き出すことによって、変わってくるんじゃないか」
こうした中、危機感の薄さや、政治の対応の遅さに業を煮やしたニュージーランドの科学者らが、各国政府が本格的行動を起こすまで、気候変動の研究を一時停止しようと訴えるケースさえ出てきています。
気候変動をめぐる状況について、中村さんは…
JT生命誌研究館 中村桂子名誉館長
「世界を見た時に、地球環境問題があるということで会議が開かれたりしているが、覇権とか、権力争いとか、戦争までしている。それから経済で大きな格差を作ってしまったから、もうとにかく経済を活性化しなきゃいけないって、今トップの人たちの意識が(温暖化に)行ってない。結局はみんなで自らのこととして意識して生活を変えていく。それが今、求められる状況になっている」
もはや「他人事」とは言えない異常気象。真剣な取り組みが、かつてなく求められているのです。
(「サンデーモーニング」2023年7月16日放送より)
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