ロシアによる軍事侵攻が続くなか、日本に逃れてきたウクライナ人女性のレナさん。去年12月、群馬県での避難生活をお伝えした。あれから半年、レナさんに大きな変化があった。
■1年経ち…レナさんの心境に変化「自立したい」
ウクライナから日本に避難してきた22歳のレナさん。日本にたどり着くまでには、1人の女性の助けがあったという。
去年2月、暮らしていた東部のハルキウがロシアによるミサイル攻撃を受け、レナさんは脱出を決意。最初に避難したのは、隣国・ポーランドだった。
そこで出会った日本人女性、カスプシュイック綾香さんの助けを得て去年4月、レナさんは日本に来ることができた。
レナさん:「とてもうれしいです。日本に着いて、最高に幸せです」
レナさんの一時的な滞在先として手を挙げたのが、群馬県富岡市に住む、佐藤裕さんだった。
久しぶりに訪れた、佐藤さんの家族と過ごす和やかな一時。
佐藤さんは様々な自治体と交渉を重ね、レナさんが安心して暮らせる場所を探した。その結果、レナさんは前橋市で、一人暮らしを始めることになった。
佐藤さん:「ここで一人暮らしをしていくのは、大変でしょう。私もさみしいです。色々なことが心配です。戸締りは気を付けてください。一つ、約束して下さい。男の人は、絶対に入れてはいけません」
まるで、父親のようにレナさんを心配する佐藤さん。日本での避難生活は、順調に始まったかに見えたが…。
レナさん:「私はロシア嫌いですから、見たくないところを…」「(Q.自分のペンで黒く)はい」
一人暮らしを始めたレナさんの部屋には、ロシアだけが黒く塗られた地図があった。
レナさん:「(Q.ロシアという文字を見ても、嫌な気持ちになる?)はい」
ロシアによる一方的な侵攻によって住み慣れた街を追われ、心に大きな傷を負ったレナさん。そんなレナさんを見て、佐藤さんはレナさんが好きな動物と触れさせるなど、元気付けていた。
そのかいあってか、レナさんの心境に“ある変化”があったという。
レナさん:「働くことは、とても大切なことだと思います。いつまでもサポートされるとは限らないし、自立したいからです」
日本に避難してきて1年が経とうとしていた4月、レナさんの自宅を訪れた佐藤さんが切り出したのは…。
佐藤さん:「大事な話があります」
■熊本で“新たな一歩”…将来は「橋渡し的な存在に」
佐藤さん:「九州の動物看護師の学校から話がありました」
熊本にある動物病院の院長が、「動物の仕事をしたい」というレナさんの思いを知り、受け入れを申し出たというのだ。
佐藤さん:「彼女も、まだ若いですから。未来がありますから。もっとたくさんの人と出会って、頑張ってくれたらなと思っています」「また、笑顔で会いましょう。応援しているよ」
レナさん:「あなたは一番大切な人、家族ですから」
佐藤さんの元を離れ、熊本で新たな一歩を踏み出したレナさん。受け入れ先の動物病院の徳田竜之介院長は、レナさんについて、次のように話す。
竜之介動物病院 徳田院長:「あのワンちゃんも、レナさんにはべったりいくんですよ、不思議と。他のスタッフには、あんまりいかないのに」
様々な人に助けられ、夢に向かって歩き始めることで、レナさんのなかで、ある思いが芽生え始めた。
レナさん:「いつか私も、たぶん誰かを助ける。出来る時は」「(Q.助けてあげたい?)はい」
支援される側から、支援する側へ。レナさんの心に、希望の光が灯り始めていた。
徳田院長:「ウクライナの動物事情というか、ペット事情は相当悲惨な状況ですもんね。それを支援したいけど、支援ができない。ルートがないとなると、動物看護師をつくって、意思疎通をうまくしてね。彼女に、そういう橋渡し的な存在になってもらえればいいかなと思います」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年6月20日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp