【解説】成人男女の98%が「ビタミンD不足」 多く含む食材は?『知りたいッ!』

【解説】成人男女の98%が「ビタミンD不足」  多く含む食材は?『知りたいッ!』

都内で健康診断を受けた人の98%が、ビタミンD不足だったとの調査結果が発表されました。ビタミンDとはどんな働きをする栄養素で、何でとったら効果的なのでしょうか。

◇骨折などリスク“高”のおそれ
◇ビタミンDが豊富な食べ物は
◇日焼け止めが妨げに?

以上の3点について詳しくお伝えします。

■年齢が低いほど不足傾向…「ビタミンD」全体の98%で必要値を下回る
東京慈恵会医科大学などのチームが、2019年4月から2020年3月の間に、都内で健康診断を受けた成人男女、5518人の血液の中のビタミンD濃度を調べました。その結果、全体の98%が必要とされる値を下回ったということです。また、年齢が低いほど不足している傾向があったといいます。

これについて街の人にも聞いてみました。

30代
「そんなにとれていないのかと驚きですよね、とれているつもりなので」

――ビタミンDの摂取について意識していますか?

20代
「ビタミンCしか意識してないよ、私」

50代
「ビタミンDってそもそもどういうものだっけ?」

70代
「干しシイタケを食べるとか。日に当たるとビタミンDになるとか、昔聞いたことがある。干しシイタケを戻して、戻し汁を使って煮物にしたりとか」

■不足すると「骨折」などのリスク高まる…どんな食材に多く含まれている?
そもそも、ビタミンDとは何なのかを見ていきます。魚やきのこなどの食品に多く含まれていて、強い骨を維持するなど、健康のために必要な栄養素です。また、紫外線を皮膚に直接浴びることでも作られます。

ビタミンDはカルシウムの吸収を促す働きがあるので、不足すると骨がもろくなり、子どもなら脚が曲がるなどの症状が出る「くる病」、大人なら「骨軟化症」「骨粗しょう症」「骨折」のリスクも高まります。
とても大切な栄養素ですが、これが豊富に含まれる食材は魚やきのこが多いです。全部100グラムあたりの含有量ですが、「乾燥キクラゲ」だと85マイクログラム、「干しシイタケ」だと17マイクログラム含まれています。これらのポイントは、両方とも“干している”ことです。原木栽培した生のシイタケだと、100グラム当たりの含有量は0.4マイクログラムです。干すとかなり増えるということがわかります。

また、焼いて食べることの多い「紅ザケ」や「サンマ」は、焼いた紅ザケは38マイクログラム、焼いたサンマ13マイクログラム含まれています。そして、半乾燥品のしらす干しは61マイクログラムです。やはり、干すのがポイントのようです。ほかにも、卵なら全卵で3.8マイクログラム含まれています。

■干しシイタケや乾燥キクラゲの“植物性由来のビタミンD”…調査ではほぼ検出されず
厚生労働省は、成人ならば、1日の摂取量の目安は8.5マイクログラムとしています。サンマだと、1匹がだいたい正味100グラムなので、1匹食べればとれます。ただ、干しシイタケやしらす干しなど、1つの食材で100グラムもとるのは無理がある場合もあるので、いろいろと組み合わせてとりましょう。

この調査を行った東京慈恵会医科大学の越智小枝教授によると、実はこんなにビタミンDが豊富な干しシイタケや乾燥キクラゲですが、これらからとれる植物性由来のビタミンDは、今回の調査ではほぼ検出されず、魚や日光由来の動物由来のビタミンDがほとんどだったといいます。

ただ、「動物由来でも植物由来でもビタミンDの作用は変わらない」ということで、焼き魚を食べたり、干しシイタケは煮物にしたり、乾燥キクラゲは炒め物やあえ物に入れるなど、食事の中に上手に取り入れるのが良いということです。

■「吐き気」「不整脈」「尿結石」…過剰摂取に注意
ただ、ビタミンDは過剰摂取に注意が必要で、とりすぎると「ビタミンD中毒」となり、血液中のカルシウム濃度が上がり「吐き気」などのほか、「不整脈」「腎結石」「尿結石」を引き起こす可能性もあるといわれています。ビタミンDの上限量は、成人で1日100マイクログラムなので、とりすぎには注意して適切な量を心がけましょう。
また、越智教授は「昔は和食中心の食生活で自然ととれていたが、今は食事が欧米化していたり、都市部の生活では日光を十分浴びるのが難しかったりすることもある。サプリメントを活用するのも効果的」としています。
また、日焼け止めを塗ると、実はビタミンDを生成できないということで、その目安もみていきます。国立環境研究所が、1日に必要なビタミンDを作る日光浴の時間の目安を出しています。それによると、例えば横浜で今の時期、6月上旬・中旬ですと、半袖の場合は5分、長袖の場合は10分以上、皮膚に直接、日光を浴びればいいといいます。そして、30分当たると日焼けしてしまうということです。これは正午ごろの目安で、時間帯や地域が変われば多少、この目安も変わります。日光を浴びる時間帯は、日焼け止めを塗らずに、その後に塗って出掛けるなど、工夫することが大事かもしれません。
国立環境研究所の中島主席研究員によると「若い女性中心に、冬でも日焼け止めを塗る傾向が広がっているが、最近の日焼け止めは優秀なので、日焼けだけでなく“ビタミンDの生成もブロックしてしまう”。例えば、『どうしても顔だけはガードしたい』という人は、腕や首だけは塗らないなどして、必要な紫外線は浴びるようにしてほしい」としています。

    ◇

不足しがちなビタミンDですが、毎日ちょっと意識することで、だいぶ改善できます。魚やシイタケなどをメニューに入れたり、朝に洗濯物を干すときにベランダでひなたぼっこする時間を作ったり、日常生活で上手に取り入れていきましょう。
(2023年6月6日放送「news every.」より)

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