愛知医科大学病院で、当時7か月の男の子が、気管に入れるべきチューブを、誤って食道に入れられ、重い障害が残ったとして、家族が大学に損害賠償を求めて提訴し、26日、第1回口頭弁論が開かれました。
当時、生後7ヵ月の伶旺(れお)くん。あってはならない事故に巻き込まれました。
「厚生労働省から特定機能病院と認められて、大学病院の集中治療室という場で、あまりにも考えられないような息子の身に起きたお粗末な事故を思い返せば思い返すほど、その後の病院の不誠実な対応に憤りを感じ…」(伶旺くんの母親)
切実な声で訴えるのは、伶旺くんの母親です。
「看護師らは謝罪をせずに、逃げるように病院をやめた」
伶旺くんは2018年7月、ウイルス性の肺炎と気管支炎で、愛知医科大学病院に入院しました。
訴状によりますと、集中治療室で人工呼吸器をつけていましたが、看護師3人が伶旺くんの体の向きを変えた際に、気管に入れていたチューブが外れたということです。
そして、人工呼吸器のアラームが鳴りましたが看護師3人は、すぐに医師を呼ばなかったとされています。
さらに、看護師の1人は、チューブを伶旺くんに押し込み、事故を隠ぺいしたところ、誤って食道に入ってしまい、その後、伶旺くんに重度の脳障害が残ったとされています。
「看護師らは現在に至るまで我々に一言も謝罪をせずに、我々の前から逃げるようにすぐに病院をやめています」(伶旺くんの母親)
消毒に500倍の濃度の消毒液、やけどのようなけが
また、2020年2月には、別の看護師が伶旺君の下半身を消毒する際、通常の500倍の濃度の消毒液を使ったため、やけどのようなけがをしたなどとされています。
伶旺くんは転院先が見つからず今も愛知医科大学病院に入院しています。
母親によりますと、病院側は事故を公表していないということです。
これについて、病院はメ~テレの取材に対し、「弁護士に一任しているのでご回答いたしかねます」とコメントしました。
伶旺くんの母親らは、今年3月、愛知医科大学に対し、約1億7000万円の損害賠償を求めて、提訴しました。
「息子が一生懸命小さな体で生きてくれているので、きちんといい形で解決して、0歳7か月で全て奪われてしまった息子に何かしら少しでもいい報告ができるようにしたいと思っております」(伶旺くんの母親)
大学病院「隠ぺいなどしていない」
26日、名古屋地裁で開かれた第1回口頭弁論で、愛知医科大学側は、「看護師がチューブを押し込んだ事実はなく、隠ぺいなどしていない」と主張。
また、消毒液の濃度の誤りについては認めたものの、やけどのようなケガについては否認するなど、請求棄却を求め争う姿勢を示しました。
さらに、伶旺くんの母親らは看護師3人について業務上過失致傷の疑いで愛知県警に告訴し、県警は捜査を進めています。
次回期日は、6月26日に予定されています。
(5月26日15:40~放送メ~テレ『アップ!』より)