【旧ソ連国がロシアに距離】侵攻開始に“不信感”勢力圏に亀裂顕在化◆日曜スクープ◆(2023年5月28日)

【旧ソ連国がロシアに距離】侵攻開始に“不信感”勢力圏に亀裂顕在化◆日曜スクープ◆(2023年5月28日)

■アルメニア・アゼルバイジャン“協議継続で合意”係争地問題

旧ソ連国のアルメニアとアゼルバイジャンの両首脳は25日、長年係争中だったナゴルノ・カラバフの帰属問題を、プーチン大統領が出席し、モスクワで協議した。首脳3人は、6月1日に副首相レベルの協議を再開し、協議継続を確認した。アルメニアは30年以上にわたり、アゼルバイジャン領にある「ナゴルノ・カラバフ」の支配権を巡り争ってきた。アルメニアのパシニャン首相は、「アゼルバイジャン領と認める可能性」に言及するなど、大幅に譲歩する姿勢を示していた。

■ロシア主導で機能不全“安保機構の脱退示唆”アルメニア首相

アルメニアのパシニャン首相は22日、ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)が機能していないと、ロシアに対する不満を表明し、脱退の可能性を示唆した。集団安全保障条約機構(CSTO)とは、6つの旧ソ連諸国、ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、タジキスタン、キルギスから構成される軍事同盟で、ロシアが安全保障を担う。アゼルバイジャンは非加盟。ロシアに対する反発の背景には、30年以上にわたり係争してきた「ナゴルノ・カラバフ」を巡る支配権の争いがある。

ソ連崩壊直後の1991年、「第1次ナゴルノ・カラバフ紛争」に突入、戦闘で約3万人が死亡、100万人が難民となった。1994年にアルメニアの勝利し、実行支配が続いた。2020年に「第2次ナゴルノ・カラバフ紛争」が勃発、両軍で6500人以上が死亡した。トルコの支援を受けたアゼルバイジャンが奪還し、現在はアゼルバイジャン領となっている。

「CSTO」加盟のアルメニアは、軍事的脅威からロシアに支援を要請するが、ロシアは安全保障上の関与を見送った。「CSTO」未加盟のアゼルバイジャンによる攻撃にもかかわらず、ロシア盟主の軍事同盟が支援しなかったことに、アルメニアは不信感を募らせた。

■旧ソ連圏に亀裂表面化“ベラルーシ核配備”カザフスタン大統領

ロシア主導の旧ソ連圏経済ブロック「ユーラシア経済同盟」のフォーラムで24日、カザフスタン・トカエフ大統領がロシアとベラルーシに言及、「今や核兵器まで共有しようとしている」と苦言を呈した。ロシアはベラルーシに戦術核を配備することを両国間で合意していたことに、トカエフ大統領は問題視した。ウクライナと同様、カザフスタンはソ連崩壊後に核の保有国となった。1994年、カザフスタンは、安全保障と引き換えに核放棄に応じる「ブダペスト覚書」を締結した。しかし、2022年2月、ロシアはウクライナを侵攻した。

欧米接近の動きを見せる旧ソ連国で、政治的、軍事的にロシア離れを加速させる背景について、慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は「旧ソ連諸国からすれば、友好関係にあった旧ソ連国のウクライナに対し、ロシアによる攻撃は許せないと認識し、“明日は我が身”の危機感を抱いた」と指摘する。

■中央アジア5カ国に“巨額金融支援”中国主導でサミット

習近平国家主席は18,19日、中央アジア5カ国の首脳を中国の古都・西安に招いた会議で、参加5カ国の安全保障と防衛強化を支援する用意があると表明した。5カ国に計260億元(約5100億円)の金融支援と無償援助を提供することを約束した。侵略長期化に伴う国力低下が、同盟国に対する介入余力の喪失を引き起こすのか。ロシア主導の軍事同盟の揺らぎと“ロシア離れ”の動きを識者とともに考察する。

★ゲスト:渡部悦和(元陸上自衛隊東部方面総監)、廣瀬陽子(慶応義塾大学教授)
★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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