自公に“亀裂”「議員心理に揺さぶり」 新「東京28区」候補巡り“決裂”(2023年5月25日)

自公に“亀裂”「議員心理に揺さぶり」 新「東京28区」候補巡り“決裂”(2023年5月25日)

 23年続いた自民党と公明党の連立に亀裂、なのでしょうか。その原因が次の衆院選で新設される「東京28区」の候補者を巡る争いです。この争いがこじれにこじれ、公明党は25日、東京ですべての自民候補を推薦しない方針を正式決定しました。

■新「東京28区」候補巡り“決裂”

 7月にも解散総選挙が行われるとの臆測もあるなか、選挙区調整を巡って自民党と公明党の対立が深刻になっています。
  
 公明党・石井啓一幹事長:「東京における自公の信頼関係は地に落ちたと言えると。したがって東京における自公間の協力関係は解消する」

 20年以上続く、自民党と公明党の連立政権にいったい何が起きているのでしょうか。

 ことの発端は、次の衆議院選挙に向けた選挙区調整です。いわゆる「一票の格差」を是正するため、次の衆議院選挙の小選挙区を巡っては、東京や神奈川などの都市部で選挙区が10増える一方、宮城や山口など地方の10県で選挙区が10減ります。今回、火種となっているのは、練馬区の東部に新しく設けられた「東京28区」です。公明党はこの東京28区に候補者を擁立する方針を示しましたが、自民党は「すでに候補者は決まっている」と反発。

 これを受け公明党は25日に常任役員会を開き、東京28区での候補者の擁立を断念する代わりに東京のすべての小選挙区で自民党の候補者には推薦を出さないこと、都議会における自公の協力関係を解消することなどを決定し、自民党側に伝えました。ただ、自民党との連立政権は解消しないとも話しています。

 公明党・石井啓一幹事長:「この問題についてはあくまでも東京の選挙協力の話であり、連立に影響を及ぼすつもりはないと」

 これに対し、自民党は。

 自民党(都連所属)・長島昭久衆院議員:「東京で起こった出来事が全国に波及しないと考える方が不自然な気がします」
 自民党(都連所属のベテラン議員):「首都、東京でこれをするなら連立離脱だよ。東京だけ推薦しないとか好きなことはさせない。公明党の大臣、副大臣、政務官は辞表を出せって話だ」

■自公に“亀裂”「議員心理に揺さぶり」

 前回の衆院選で東京都内25の小選挙区で16議席を獲得している自民党。公明党の選挙協力がない場合について、ジャーナリストの後藤謙次さんは…。

 ジャーナリスト白鴎大学名誉教授・後藤謙次さん:「やっぱり、かなり厳しい選挙区が続出するんだと思いますね。公明党としては東京を揺さぶるということが全体を揺さぶると。なかなか(自民党は)公明党と縁切りというわけにはいかないんじゃないかなと。その議員心理をテコに公明党の要求を達成すると」

 東京28区の候補者擁立を自民党に認めさせることが公明党の狙いだとみています。一方の自民党は、新たな区割りで減る10の選挙区すべてが自民党の選挙区のため、新たに増える選挙区を簡単には譲れないという事情があります。

 ジャーナリスト白鴎大学名誉教授・後藤謙次さん:「まだ我慢くらべの段階だと思います。最後の決裂、激突までは至っていないと。感情論からチキンレースになっていると」

■岸田政権で対話途切れ?

 なぜここまで話がこじれてしまったのでしょうか。

 ジャーナリスト白鴎大学名誉教授・後藤謙次さん:「菅内閣まで機能していた自公関係の常設の協議機関ですよね。我々は「二幹二国」と呼んでいますが、日常的に対話のなかで解決してきたんですね。それが岸田政権以降ですね、対処できなくなってしまっている。柔軟性が失われてしまっているというのが今の自公関係だと思いますね」

 今回、公明党が譲らない背景には支持母体である創価学会の幹部の意向が強く働いているほか、解散総選挙を巡る思惑の違いもあるとみられます。

 ジャーナリスト白鴎大学名誉教授・後藤謙次さん:「この国会の会期末にひょっとしたら解散があるかもしれないということで、急きょ、結論を急いでしまったというのが今回の事態なんですね。つまり公明党にとって今、選挙をやりたくないと。(解散総選挙を)やれない状況を作るというのも今回の動きのなかにあるんだと思いますね。4月の統一地方選挙が終わったばかりで公明党は選挙準備期間が3カ月と言われているんですね。その体制を組むまでの時間的余裕があまりになさすぎると、この局面での戦はちょっと避けたいというのがあると思う。解散がここでいったん回避されて先に送られるということになると『急いで結論を出すことないじゃないか』『いったんお互い頭を冷やそうじゃないか』ということになるのではないか」

 自民・公明両党は30日に再び協議する予定ですが、お互い反発が強まっていて混迷した状況が続いています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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