高島)
激戦地、バフムトでウクライナ軍が反転攻勢を開始したという見方も出てきていますが、その占拠をめぐって、ロシア軍と民間軍事会社ワグネルの間で対立が激しさを増しているようです。
仁科)
そうなんですよね。ロシア国防省によりますと東部の激戦地のバフムトの周辺でウクライナ軍1000人以上の部隊と40両の戦車で26回にも及ぶ攻撃が行われました。これによって、ロシア軍は部隊を後退させました。しかし、ロシアからするとこの後退は、「より有利な場所に再編するためだ」と主張しています。一方ロシアのワグネルの代表のプリゴジン氏は、これは「再編ではなく逃亡だ」と非難しているんですね。これまでも軍とワグネルの対立は表面化してきていましたが、その理由について防衛研究所の高橋杉雄氏にお話を伺いました。「それぞれが組織の利益も考えていて国内での影響力を高めるために足の引っ張り合いをしている。ウクライナ側はその対立を利用して今回バフムトを攻めたと思う」と話しています。
高島)
ロシアの内輪揉めの対立なのか、それともウクライナを油断させるための作戦なのか、その辺りはどうでしょうか?
柳澤)
内輪揉め、足並みの乱れは間違いないと思います。ただ、一方で気になるのはウクライナ側なんです。ゼレンスキー大統領が近くイタリアを訪問するとか、反転攻勢についても、「まだ時間が必要だ」という言い方をしているんですよね。ただ、戦争ですから本音は絶対に言いませんから、その辺はやっぱりこの言葉から真に受けて事態を把握しない方がいいんじゃないかなと思いますね。
高島)
そのウクライナの反転攻勢について、高橋さんによりますと、「8月下旬までにザポリージャかヘルソンで大規模な攻撃に出て、ロシア軍が制圧している部分をまずは分断させるのでは」と見ているようなんですけれども、柳澤さん、この分断というのには、どんな意図があると思いますか?
柳澤)
分断すると、孤立化しますよね。孤立化したところを叩く。これは、日本の戦国時代の兵法にも全く同じようなことがあるわけで。そういった現実からすると教科書どおりの攻め方なのかなと思いますけど。お互いに支援しにくくなるし、しかも補給もできなくなっていく。だから孤立化させたら攻撃する側からすると叩きやすくなるんですよね。
高島)
来週にはG7サミット開幕しますよね。そこでこのウクライナ支援について、どこまで話が進むのかというところ、ここも注目されます。
サタデーステーション 5月13日OA
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