「がん治療に効く水を開発している」などと、うたい金を集めていました。健康食品販売会社の社長らが、がん患者から出資を募り無許可で株を買わせるなどした事件。男たちが開いていたセミナーから見えた勧誘の実態とは。
■「がんに効く水」うたい 男ら逮捕
セミナーで話す白木容疑者:「やってることが大きいんです。人の命は地球より重いから。人の命の重みを理解しているだけ」
東京・赤坂警察署から送検された健康食品会社「ウィンメディックス」の社長・白木茂容疑者。「がん治療に効き、副作用がない飲料水を開発している」とうたい、元社員の西昭洋容疑者らと株式売買名目で集めた7億円を、寄付金と装った疑いが持たれています。数百人の聴衆に呼び掛ける、白木容疑者です。自身も「病気で家族を亡くした」などと語り治療薬を完成させるため、大きな資金の必要性を訴えます。
セミナーで話す白木容疑者:「運命とか宿命とかって、絶対になくならないことってありますでしょ。時間は巻き戻っていかないから。だから、それが人ですよ。この世の中から病を少なくすること。全部、全力で全うしてやろうと決めたんです」
株の購入者のなかには、末期がんの患者やその家族もいるといいます。
被害者の家族:「『がんでも、認知症でもなんでも治る』『素晴らしい新薬を開発している』とそれを流暢(りゅうちょう)に語るものですから、うちの母はその時の精神状態もあったと思うんですけど、すごくいいものだと思って。その時に購入するには、未公開株を買って株主にならないと、すごく高い商品なので一般には買えないという説明を受けて、未公開株の申し込みをして買ってしまうんですね」
■“がんに効く水”配り 患者勧誘か
株主には「高額の配当を支払う」などと宣伝されていたものの、配当は一度も行われていません。また、摘発を逃れるために無料で「治療薬と称した飲料水」を配っていた事が取材で分かっています。
被害者:「液体でプラスチックの入れ物に入って何本か送ってきた。自分が飲んだ訳ではないのでよく分からないけど、(飲んだ人から)全然効かないということは聞きました」
この被害者は「ウィンメディックス」の別の商品を服用し、体調を悪化させたと主張。
被害者:「『細胞が若返る』というサプリメントということでした。それには株を買うという形で5万円を払って会員になるという。そうするとサプリメントを安く買える。(服用して)体が妙にだるくなった。家事やるにも休み休みじゃなきゃできなくなった。説明書きも何もない。成分は一切、記載されていません」
セミナー以外にも自らのPR動画まで作成。「治療薬の飲料水などを開発している」とうたい、がん患者や家族に株の購入を持ち掛けたとして健康食品会社「ウィンメディックス」社長らが逮捕された事件。資金集めが目的とみられるアニメのPR動画まで準備されていました。
■逮捕の男 キャバクラに高級外車も
逮捕された3人のうち、社長の白木茂容疑者は株式売買名目の金を寄付金と装った事について容疑を認めているということです。また、白木容疑者については、集めた80億円を超える金のうち、8億円以上をキャバクラや高級外車、腕時計など個人的に使っていたことが分かっています。
被害者の家族:「『がん以外の病気でも大丈夫』という話も(セミナーで)されていたので、がんの人だけではないと思います。すごく衰弱した状態の人が杖を付いていたので、わらをもつかみたい気持ちというのはあると思う。人としてやっていいことかどうかを考えていただきたいと思う」
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