ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるプリゴジン氏が突然、ロシアが敗北する可能性があると指摘した。
さらには、“蜜月関係”と言われたプーチン大統領に、異を唱えるような発言もしていて、臆測を呼んでいる。
■ナワリヌイ氏の体調悪化 何が?
16日、プーチン大統領がロシア正教会の復活祭の礼拝に参加した。
ロシアメディアによると、プーチン大統領は電報で「復活祭は親切な考えと善行を鼓舞し、社会において非常に道徳的な理想と価値観を促進するのに役立ちます」とメッセージを送ったという。
和やかな雰囲気の一方で、過酷な状況に置かれているとみられるのが現在、刑務所に収監されている反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏だ。
ロイター通信によると、広報担当者はナワリヌイ氏が激しい胃痛を訴えているとし、こんな見方を示したという。
ナワリヌイ氏の広報担当 キラ・ヤルミシュ氏:「すぐには死なないものの、苦しみながら徐々に健康を害するよう、少量ずつ毒を盛られている可能性を排除できない」
そして、ナワリヌイ氏は、7日夜から8日にかけて救急車を呼ぶ事態になったという。
ワシントンポストによると、ナワリヌイ氏の弁護士は、毒物検査などの医療検査を要求し、ロシア当局に苦情を申し入れているという。
これに対し、ロシア大統領府は「ナワリヌイ氏の健康状態は把握していない」とし、「刑務所が対処する問題だ」と述べたという。
■「ワグネル」創設者“敗北示唆”
そんななか、14日に民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏が驚きの声明を発表した。
プリゴジン氏(SNS):「ロシアはウクライナ軍の反転攻勢で敗北する可能性がある」
ロシア敗北の可能性を指摘し、特別軍事作戦を終了させるべきだと主張したのだ。果たして、その意図とは…。
■大統領に異唱え? 侵攻終結主張
プリゴジン氏が発表した声明。この意図について、詳しく見ていく。
ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者・プリゴジン氏は14日、SNSに投稿した声明で、「ロシアが敗北する可能性がある」とし、「特別軍事作戦を終了させるべきだ」とした。
また、このまま侵攻を続けた場合、ロシアが占領地域を拡大できる可能性はあまりありそうにないと強調。
侵攻開始から1年にあたる今年2月24日時点の前線を停戦ラインとすべきだとし、占領した地域の足場を固めるべきだと主張した。
また、声明では、プリゴジン氏と蜜月関係といわれるプーチン大統領を意識したと思われる部分がある。
それが「ウクライナはかつてロシアの一部だったかもしれないが、今は国民国家だ」と述べている部分だ。
これが、プーチン大統領の「ウクライナはロシアの一部」という持論に異を唱えるような発言とあって臆測を呼んでいる。
■「愛国勢力の分裂が始まる可能性」
そして、プリゴジン氏は最近、親プーチン派野党である公正ロシアに急接近しているようだ。
アメリカのシンクタンク戦争研究所によると、プリゴジン氏は公正ロシアの党首、セルゲイ・ミロノフ氏との関係が深まっているそうで、プリゴジン氏がこの党の支配権を獲得し、クレムリン内の分派化をさらに引き起こす可能性があると報告している。
そんなプリゴジン氏が声明を出した意図について、元時事通信モスクワ支局長で拓殖大学の名越健郎特任教授は「来年3月の大統領選への出馬を意識した声明への可能性はある。プーチン政権はプリゴジン氏の活動を警戒しているが、簡単に手を出せない。プリゴジン氏は右派・愛国勢力の英雄。プーチン政権が弾圧すれば、愛国勢力は反プーチンに動きかねないとし、プリゴジン氏はこのまま政治的活動を加速させていく可能性が高く、そうなればプーチン氏を支える愛国勢力の分裂が始まる可能性がある」と分析をしている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年4月17日放送分より)
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