【独自】歯科矯正トラブル 医師「大事になると思わず…」 被害女性と“直接対決”(2023年4月4日)

【独自】歯科矯正トラブル 医師「大事になると思わず…」 被害女性と“直接対決”(2023年4月4日)

 歯の矯正を巡ってモニター会員となった女性たちが、クリニックの運営会社などにおよそ2億円の損害賠償を求め、訴えている問題。クリニックの立ち上げから関わっていた渦中の医師と被害女性が対峙、お互いの言い分は…?

■被害女性「逃げてる」 医師「別に逃げてない」

 被害額100万円 女性(35):「伊藤先生の名前で集客されて、集まってきた患者さんだったんですよ」

 クリニックの立ち上げに関与 伊藤剛秀医師(44):「(名前を使うのを)止めてくれっていうのは、内容証明送らせていただきました」

 被害額100万円 女性(35):「止めてくれって言っても、それまで診ていた患者さんは診るべきだったんじゃないかなと、私は思うんですけど。途中で放り投げて」

 伊藤医師:「放り投げたんじゃないんですよ」

 被害額100万円 女性(35):「みんな思っちゃってるんですよね、逃げてるじゃんって」

 伊藤医師:「追いかけていただければ、別に逃げてもないし」

 取材に応じたのは、歯科医師の伊藤氏。多くの客と金銭トラブルになっている歯科クリニック「デンタルオフィスX」に立ち上げから関わっていた人物です。

 被害額100万円 女性(35):「だって立ち上げから関わってたんですよね。ってことは、伊藤先生のクリニックじゃないですか」

 カメラの前で繰り広げられた激しいやり取りから、クリニックの驚きの実態が明らかになりました。

■クリニックなどに対し“2億円の損害賠償訴訟”

 被害額130万円 女性(30代):「借金も残ったまま健康被害も残り、この先どうしたらいいか分からない状態です」

 今年1月、会見で、涙ながらに被害を訴えた女性たち。

 被害額100万円 女性(35):「奥歯のほうが、すきっ歯になっています。上あごが下がっているので、口を開けた時に前歯しか見えないんですね。どうにか健康を取り戻したいというのと、損害の賠償責任を果たしてほしい」

 女性ら153人は銀座の歯科クリニック「デンタルオフィスX」などに対し、総額2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こしています。

■世界NO.1医師 原告153人“一度も会ったことない”

 2年半前、歯並びについて悩んでいた女性が申し込んだのは「マウスピース矯正モニター」。契約を結び、最大で187万円を支払うと、その後、クリニック側から謝礼として毎月5万円がキャッシュバックされ、“実質無料”で歯の矯正ができるというものでした。

 しかも、勧誘のパンフレットでは、世界ナンバーワンの伊藤医師が治療を行うとうたっていました。

 パンフレット:「個人別症例数 世界NO.1」「正しい審美歯科治療を広めたい」

 女性はモニター契約を結びますが、去年6月ごろ、クリニック側との連絡も取れなくなり、治療をストップ。100万円の借金だけが残りました。

 被害額100万円 女性(35):「世界一の先生が担当してくれるというのを聞いて、長年ずっと悩んでた、学生の時から悩んでた歯並びをなおせるなって思って。だから、伊藤先生に診てもらいたくて契約を決めました。でも、契約して伊藤先生に一度も会っていません」

 被害者弁護団 団長 加藤博太郎弁護士:「世界一の先生、伊藤先生ですよね?」

 女性ら:「はい」

 加藤弁護士:「伊藤先生、非常に怪しいですよね。誰もかかってないですもんね?」

 女性:「会ったことないです」

 集団訴訟で、運営会社の社長らと共に被告になっている伊藤医師。提訴後の会見でも、記者からは質問が相次ぎました。

 加藤弁護士:「(Q.伊藤医師から実際に治療を受けた原告は?)いないですね。います?いないですね」「(Q.誰もいない?)広告塔だと思います」「(Q.実在はしてる?)しています」「(Q.本当に歯科医師なのか?)それは確認しています」

 原告153人全員が、一度も会ったことがないという伊藤医師。一体、どんな人物なのでしょうか?

■追い出された後も…「集客のために名前使われた」 

 伊藤医師に直接話を聞くため、2カ月間にわたって取材を継続。すると、本人が被害女性に直接説明したいと、取材に応じました。

 伊藤医師:「(弁護士から)訴状が来てない以上は、勝手に動くなと。きょうも弁護士からはお勧めしないけど、ただ先生が治療したいって気持ちを伝えたいんだったら、止める気はしないけどっていうことで来させていただいた」

 モニターに申し込んでから2年半…。ようやくパンフレットに掲載されていた伊藤医師と会うことができた女性。

 被害額100万円 女性(35):「きょうが初めましてじゃないですか。なんでさっさと辞めちゃったというか、何のアナウンスもなく辞めてしまったんですか?」

 伊藤医師:「私が退職した後も、ホームページとかパンフレットで名前を使われてて。患者さんを集めるために名前を使われてたっていうのが実際のところなんです」

 被害額100万円 女性(35):「それでも、それまで診ていた患者さんは診るべきじゃないかなと思うんですけど。途中で放り投げて」

 伊藤医師:「放り投げたんじゃないんですよ」

 被害額100万円 女性:「でも、皆さんそう思いますよ」

 伊藤医師:「確かにそう見えるかもしれないですけど、実際は現場から(客に)『伊藤医師はもう来なくなったんで』って、(クリニック側から)僕が行くのをお断りされてた状態なんです」

 伊藤医師によりますと、クリニック開業後、モニター会員を見境なく増やす方針の運営会社と意見が対立。2021年の夏には、クリニックから追い出されましたが、それ以降も「集客のために名前を勝手に使われた」と主張しました。

 実際、伊藤医師が診療してくれると思ってモニター会員となった人は多く、最終的な会員数は1700人にまで達しています。

■伊藤医師「こんな大事になると思ってなかった」

 被害額100万円 女性(35):「(クリニックを)辞めましたという旨を発信することはできたんじゃないですか?」

 伊藤医師:「そうですね」

 被害額100万円 女性(35):「でも(発信を)しなかったじゃないですか?」

 伊藤医師:「すべきだなって思いました」

 被害額100万円 女性(35):「なんで、しなかったんですか?」

 伊藤医師:「クリニックが破綻して治療できなくなるなんて考えてなくて、こんな大事になると思ってなかった」

 被害額100万円 女性(35):「立ち上げから関わってたんですよね?ってことは、伊藤先生のクリニックじゃないですか」

 伊藤医師:「(運営会社の)中村社長がお金を出して、(関連会社の)小島社長はマネジメントをすると。私は勤務するドクターの教育係というような立場で協力させていただきますと。利益が出たら、3人で分けましょうっていう感じで始めたんです。ただ、お給料も頂いてなくて、交通費も自腹で行かなくてはいけなくて。利益が出たら報酬は分けると言われていたんですけれども、いつになってもそういうことがないので」

 伊藤医師:「(Q.デンタルオフィスXを巡る報酬は全くない?)3年間で30万円くらいですかね」

■自身の勤務先で受け入れる「負担は実費だけ」

 詐欺被害を訴える女性たちに対し、伊藤医師はこう語った。

 伊藤医師:「詐欺に関しては、歯科医師はおそらく一切関与していないんですけど。僕の治療を希望してくれた患者さんに関しては、治療を続けられなくて申し訳ないなと思っています」

 そして、女性の現状を知るため、初めて口の中を確認しました。

 伊藤医師:「顎(がく)関節症っていうのがあって、これっていつぐらいから出てらっしゃいますか?」

 女性:「もう去年くらいから」

 伊藤医師:「痛みとか片頭痛はないですか?」

 女性:「あります。この辺が痛くなる」

 治療が中断したままの女性の歯を、目の当たりにした伊藤医師。今後、こうした女性の治療を、自身の勤務先で受け入れる方針を明らかにしました。

 伊藤医師:「(患者が)希望していらっしゃれば、きちんと最後まで(治療を)やらせていただきたい」

 伊藤医師:「(Q.患者の負担はどれくらい?)実費だけ、アタッチメントを付ける時は1万円、歯の調整をする時に3000円。矯正に関してはそれだけでやらせていただいてますんで。いきなり来て料金がかかるってわけではなくて。話聞いてみたいってだけでも良いので。それをお伝えできればなと思います」

(「グッド!モーニング」2023年4月4日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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