「TikTok」CEOが米議会出席 中国政府へ情報漏洩? 5時間の追及…“米企業化”狙いも(2023年3月27日)

「TikTok」CEOが米議会出席 中国政府へ情報漏洩? 5時間の追及…“米企業化”狙いも(2023年3月27日)

 中国への情報漏洩(ろうえい)が指摘され、各国で利用が制限される動きも出ている中国系動画投稿アプリ「TikTok」。そのトップがアメリカ議会の公聴会に出席し、議員たちから5時間にわたって追及された。

■CEO「提供を求められたことも、したこともない」

 TikTok・周受資CEO(最高経営責任者):「皆さん、こんにちは、周です。きょうはワシントンに来ていますが、ここで皆さんと共有したいニュースがあります」

 中国系動画投稿アプリ「TikTok」のCEO・周受資氏がワシントンを訪れたのは、連邦議会に出席するためだ。

 TikTokは世界およそ150カ国で10億人以上が利用するなど、若者を中心に絶大な人気を誇っている。その一方で指摘されているのが、中国政府への情報の漏洩だ。

 アメリカでは、政府所有の端末での使用が禁止されるなど、TikTokへの圧力が強まっている。

 23日に開かれた公聴会では、TikTokに中国政府が関与しているかについて議論が交わされた。

 周CEO:「中国政府が(TikTok)ユーザーデータにアクセスした証拠はありませんし、提供を求められたことも、提供したこともありません」

 民主党・エシュー下院議員:「それは、でたらめだと思います」

 周CEO:「証拠はありませんし、我々はデータをアメリカ国内に移して、アメリカ企業が保管して、アメリカ人が監視を担当しています」

■中国外務省「違法な方法で提供求めることない」

 周氏は、中国政府との関与を否定したが、投稿された動画を巡っては、過去にウイグル族について言及したものが削除されたこともあった。

 アメリカ人:「ビューラーを置いて携帯を持って、今すぐ中国で起きていることを調べてください。無数のイスラム教徒が強制収容所に送られている現状に関心を持ってください」

 この動画はTikTok側によって削除され、アカウントも一時凍結されたという。

 共和党・ロジャース下院議員:「TikTokでウイグル族へのジェノサイドに関連するコンテンツを削除したことは?」

 周CEO:「そういったコンテンツを削除しません。TikTokは表現の自由を尊重していて、世界中のユーザーが様々なトピックのコンテンツを発信しています」

 議会の追及は、5時間以上にも及んだが、議論は平行線をたどった。公聴会後、中国外務省も政府の関与を否定した。

 中国外務省・毛寧副報道局長:「これまでも、これからも中国政府のために違法な方法で個人や企業に対し、海外のデータや情報について提供を求めることはない」

■日本の若者は? “アイドル活動”規制に不安も

 情報漏洩の警戒を強めているのはアメリカだけではない。フランスは24日、公務員に支給された携帯電話でのTikTokの利用を禁止する方針であることが分かった。

 また、イギリスも政府職員が公務用端末で利用することを禁止すると発表するなど、各国が対策に乗り出している。

 日本でも人気の高いTikTok。こうした世界的な動きを実際に利用している若者はどうみているのか?

 20代大学生:「中国が全般的に悪いとは思いませんが、個人情報は怖いじゃないですか、流出するのが」

 20代大学生:「スマホ1台で見てるので。情報が盗まれる感覚が分からないので、見続けちゃう気もします」

 20代会社員:「国によって違うのかな。文化とか。発信とかの方法も違うから。その国で決まればいいのかなと思います」

 この2人は、アイドル活動をしているというが、TikTokの利用規制が進むことに不安を感じているという。

 20代アイドル活動中:「TikTokって、今一番バズりやすいSNSだと思っていて。TikTokでバズった曲とか、他のアイドルグループさんとかもあると思うので。アイドルの立場としては、やばいのかなと」

■情報漏洩について…具体的な証拠“示されず”

 アメリカ議会が中国系動画投稿アプリ・TikTokを厳しく追及する背景には何があるのだろうか?

 そもそも、TikTokに厳しい目が向けられるようになったのは去年12月。アメリカの経済紙フォーブスが、自社の社員の個人情報や位置情報をTikTokの運営会社の社員が不正に入手しようとしていたと報じたことがきっかけだった。

 そして、中国の法律では「政府は必要に応じて企業などの保有する情報を入手することが可能」と規定されているため、「TikTok利用者の個人情報が中国政府に渡る可能性がある」との疑惑が広まったとみられている。

 インターネットなどの情報に詳しい、国立情報学研究所・佐藤一郎教授は「一連の疑惑に対して、アメリカ政府などから具体的な証拠は公式に示されていない」としている。

■事態収拾は? “米企業にする”米政府の狙いも

 一連の疑惑の収束には、何が必要なのか。佐藤教授は「TikTokの運営会社が株を売却し、アメリカの企業になり、アメリカの法律で管理できるようにならなければ、事態は収拾しないのではないか」としている。

 また、佐藤教授は「アメリカのネット企業は動画投稿アプリの展開で、アメリカ国内でもTikTokに大きく水をあけられている」といい、アメリカ政府としてはアメリカの企業にしようと仕向けている狙いもあると指摘している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年3月27日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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