習近平国家主席がロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会談した。習主席の3日間のモスクワ滞在中、首脳会談は2日間で約7時間半に及んだ。今回の中ロ首脳会談について、中国側は、習主席のモスクワ訪問を「友好、協力、平和の旅」と位置付け、「中国は和平交渉の促進に建設的な役割を果たす」と主張していた。首脳会談では中国が2月24日に公表した12項目の和平案「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」について協議が行われた。項目の中には、「すべての国の主権を尊重」、「敵対行為をやめる」、「和平交渉の再開」、「一方的な制裁の禁止」などが盛り込まれている。ウクライナ侵攻を巡る和平交渉に関しては、ロシアは中国のウクライナ問題に対する「客観的で公平な立場」を、一方、中国はロシアの「和平交渉の早期再開に向けた意欲」を、双方が評価した。
ウクライナを電撃訪問した岸田総理とゼレンスキー大統領が会談を行った。21日の共同会見で、ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻を巡る和平案に対し、「中国がウクライナ独自の和平案を考慮せず作ったものだ」としたうえで、昨年11月にG20でウクライナが提出した和平案を基礎に、中国との会談を提案した。ウクライナ側の和平案には、「ウクライナの領土回復」、「ロシア軍の撤退」、さらに、「ロシアの戦争犯罪の訴追」などが明記され、ロシアに対する責任追及の姿勢を明確にしている。ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、イタリア紙のインタビューで、「和平計画は、侵略者の利益を満足させるものではなく、ウクライナからのロシア軍の強制的撤退から始めなければならない」と主張した。
ウクライナ情勢と和平推進をロシアと協議するなど、習近平主席が仲介を試みる狙いは何か。和平交渉について、中ロ首脳会談後の共同声明には「双方は責任ある対話が問題を着実に解決する最善の方法であることを強調した」と記されている。だが、ロシアはウクライナの4州併合を去年9月に宣言し、これに対して、ウクライナは領土回復とロシア軍撤退を求めており、両国の隔たりは大きい。中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉氏は、中国が“対話による解決”と和平交渉を呼びかける背景には「2つの戦略が存在する」と狙いを読み解く。
★ゲスト:山添博史(防衛省防衛研究所)、廣瀬陽子(慶應義塾大学教授)、遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
★アンカー:片山善博(大正大学地域構想研究所所長)
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