マクロン大統領の“禁じ手”年金改革にデモ激化 各地でストも「年内に施行される」(2023年3月24日)

マクロン大統領の“禁じ手”年金改革にデモ激化 各地でストも「年内に施行される」(2023年3月24日)

 フランス全土で23日、マクロン大統領の年金改革に反対するデモが行われ、およそ109万人が参加。放火も起きている。

■マクロン大統領「この改革は必要不可欠、年内に施行」

 フランス全土で23日、マクロン政権の年金改革に反対するデモが行われた。

 内務省によると、合わせておよそ109万人が参加したという。また南西部のボルドーでは、市庁舎の入り口の扉が放火された。

 内相は、全土で172人の身柄を拘束した一方、警察官ら149人が負傷したと明かした。

 さらに、フランス各地ではストライキも起こっている。ごみ収集業者のストライキが、2週間以上も続いているのだ。

 マクロン大統領が進めてきた年金改革は、年金受給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げるというもの。その法案の採択が、フランス議会で、16日に行われたのだが、議場内は荒れに荒れた。

 国民議会(下院) ヤエル・ブロンピべ議長:「歌を歌うのは、直ちにやめてください。規則に反します」

 マクロン政権は年金改革法案を、多数決を取らずに採択。フランスの憲法では、政府が法案を採決なしに採択することが認められている。

 反発する野党は“内閣不信任案”を提出し、抵抗を見せたが、20日の議会で否決。これにより、年金改革法が成立した。

 国民の理解が得られないなかで強行採択された年金改革法について、マクロン大統領は、こう発言している。

 マクロン大統領:「この改革は国民の抵抗が強くても、財政健全化のため必要不可欠であり、年内に施行される」

■抗議が広がれば「マクロン大統領の退陣も考えられる」

 16日に強行採択された年金改革法は、年金の受給開始年齢を現在の62歳から64歳へ引き上げるとともに、年金の満額支給に必要な保険料の払込期間を現在の41年6カ月から43年に延長することなどを柱にしたものだ。

 その目的は、年金財政の赤字を是正することで、マクロン大統領は2017年の就任以来、最重要課題の一つに挙げていた。

 しかし、年金改革への国民の反対は根強く、議会で否決される可能性もあったため、マクロン大統領が使ったのが“禁じ手”ともいえるものだった。

 それが、フランス憲法の49条3項。この49条3項には、予算や社会保障に関連する法案については、議会の採決なしで首相が採択できるとあり、今回マクロン政権は、この規定を適用した。

 実は、去年5月に2期目を迎えたマクロン政権は、去年10月以降、この“禁じ手”を多用していて、今回で11回目になる。

 しかし、年金改革を進めてきたマクロン大統領の支持率は低下している。

 フランスの大手調査機関が今月20日に発表した調査によると、マクロン大統領の支持率は28%で、2月の調査から4ポイント低下するなど3カ月連続で支持率は下がっている。

 なぜ、マクロン大統領は“禁じ手”を使ってまで、年金改革法を成立させたのか。

 フランスの政治情勢に詳しい中央大学の庄司克宏教授は「フランスでは大統領の3選が禁止されていて、現在2期目のマクロン大統領には、もう恐れるものがない」という。

 その一方で、「今回の労働組合中心のデモやストライキは、2018年、燃料価格高騰と燃料税引き上げがきっかけで起きた『黄色いベスト運動』に匹敵する抗議運動に発展する可能性がある。さらに、労働組合の抗議が国民運動にまで広がりを見せれば、マクロン大統領の退陣も考えられる」と指摘している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年3月24日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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