今年に入ってから、全国各地で魚の大量発生など“海の異変”が確認されています。今、海で何が起きているのか。緊急取材しました。
大分県の名産『関サバ』は…。
大分県漁業協同組合佐賀関支店・須川直樹地区漁業運営委員長:「2~3月までは、サバが釣れる時期なんですけど、それが一日に何本かしか上がってこないという状況」
『氷見の寒ブリ』が特産の富山県では…。
富山県農林水産総合技術センター水産研究所・阿部隼他研究員:「日本海の富山や新潟でとれるブリが近年、小型化していると言われております」
『新巻鮭』で有名な岩手県のサケ漁は…。
岩手県農林水産部水産振興課・野澤清志振興担当課長:「今年1月末現在で約445トン。2014年の1万7500トンに比べると非常に厳しい状況となっています」
では、その原因は?
岩手県農林水産部水産振興課・野澤清志振興担当課長:「海洋環境の変化」
大分県漁業協同組合佐賀関支店・須川直樹地区漁業運営委員長:「考えられるとすれば温暖化」
富山県農林水産総合技術センター水産研究所・阿部隼他研究員:「海水温の上昇が原因の一つではないか」
去年、日本近海の海面の温度は、過去115年間で2番目に高く、平年より約0.6度高くなりました。海水温の上昇が海の生物に影響を与えているのでしょうか。一つのヒントが、駿河湾の深海にありました。
向かったのは静岡県沼津市・戸田沖、約10キロのポイント。情報をくれた、深海魚や海の希少生物に詳しい『ブルーコーナー』石垣幸二代表です。
石垣代表:「ここは最深で2500メートル。日本一深い湾です。(Q.この一番深い湾でどんな漁をするんですか?)底引き網漁って言って、深海に網を落として、1時間ぐらい引いて、深海生物をとる専門の漁です」
深海底引き網漁。水深約250メートル地点に生息する深海生物を狙い、ゆっくりと網を引いていきます。深海から上がってきた網の中には…。
石垣代表:「これがアカザエビってやつね。今、深海のエビの中で最も高価なやつ。1キロ1万円。浜値でね」「かわいいのがいるでしょ。これミドリフサアンコウ。水を抜くとペっちゃんこになる。アンコウの仲間です」
次々に確認される深海の生物たち。そして、その中に…。
石垣代表:「見て下さいこれを。マアジですよ。普段は深くても30~70メートルぐらいにしかいない。今、網を引いたのは水深200メートル(以上)ですから。深海に、このアジがいたってことですよ」
一般に、海の表層域を中心に生息するアジですが、駿河湾・戸田沖では、深海250メートル付近に移動している可能性があるのだといいます。
海光丸・山田浩二代表:「これ全部アジだよ。スーパーでよく見る。今年ぐらいだよね、多いのはね。(Q.今年ぐらいからかかりはじめた?)かかりはじめたね」
さらに…。
石垣代表:「見てこれ、マイワシですよ。水深20~30メートルを泳ぐような魚が今、200メートルから上がってきてる。これはちょっと分からないですね」
漁師も専門家も分からないというこの現象。かつて海洋研究開発機構でも深海生物を研究してきた北里大学海洋生命科学部・三宅裕志教授は…。
三宅教授:「こういう表層性の魚が(底引き網に)入るのは、なかなかないので(海の中が)違う。違っているというのは明らかですよね。漁の途中でひっかかってきた可能性もありますけど、表層種が暑いから下に行っているというのは、否定はできないし」
そのうえで…。
三宅教授:「(魚の)分布が変わっちゃうと、食卓への影響は大きくて。アジが本当に250メートルとかに行っちゃうと、漁が大変なので手軽には食べられなくなる。(食の)文化もどんどん変わってしまう」
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