地震や津波から助かったとしても、避難先で命を落とす理由のひとつに「低体温症」があります。低体温症を防ぐためのキーワードは、“TKB+W”です。
◆東日本大震災 ある病院に運ばれた重症患者の約3割が「低体温症」
12年前の3月11日、突然、大きな揺れが、宮城県の「石巻赤十字病院」を襲いました。当時、重症患者の対応をしていた植田医師によると、患者にはある特徴があったといいます。
植田信策副院長
「津波で流されてけがをしたり、当然体が濡れていますので、低体温症になっている方が多かった印象」
運ばれてきた重症患者のうち、およそ3割が低体温症だったのです。
そんな中、北日本で懸念されているのが「日本海溝・千島海溝地震」です。津波から逃れられたとしても、体が濡れたことなどによる低体温症で最大4万2000人が死亡するのです。
植田信策副院長
「災害から逃れても、そのあとの生活で亡くなってしまう。避難環境を良くしていかないことには、救えるはずの命が救えない」
◆避難所で命を守るキーワード「TKB+W」 最初のTは…
避難先で命を落とさないため、その課題を見つけようと、ある訓練が行われました。想定は、真冬に停電を伴う災害が起きたというもの。こうした避難所で命を守るため、重要となるキーワードがあります。「TKB+W」です。
Tは「トイレ」。訓練では、仮設トイレの課題が話し合われました。扉に貼り付けたのは「和式」と書かれた紙。
訓練参加者
「和式って(わかるように)書いた方がいいねって。そもそも和式がきついかな、寒いところでは厳しいかな」
衛生面の理由からトイレを控え、体調をさらに悪化させる被災者も多くいます。そこで、今後、導入が期待されているのが「コンテナ型トイレ」。従来の仮設トイレとは異なり、洋式トイレと暖房が設置された快適な環境です。
◆「キッチン」のK、「ベッド」のB 対策は
次に、Kの「キッチン」、食事です。避難所では冷たい食事が続くことがありますが、体と心の健康のため、避難所でこそ温かい食事を提供することは大切だといいます。
訓練参加者
「おなかも心も一安心するというか、よかったなという感じ」
続いては、Bの「ベッド」。就寝環境を整えることを指しています。床に直接、寝てみた記者の感想は、「背中・腰・お尻が冷たくて、これは3分寝てられない」。
近年、避難所で広がりつつある「段ボールベッド」は、床に直接寝るのに比べて暖かく、足音や振動が伝わりづらいというメリットもあります。
◆夏でも、沖縄でも起こし得る「低体温症」 全国で対策を
最後のWは、「ウォーム」。雪を溶かした水を沸かし、足湯をつくる工夫をしました。
寒冷地防災に詳しい日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、「低体温症をどうやって引き起こさないか。たとえば湯たんぽをつくったり、足湯をしたり」と話します。
ただ、低体温症は寒冷地だけの問題ではないといいます。
根本昌宏教授
「夏でも低体温症がおこる。沖縄であっても、冬場の海が津波になった場合には濡れによって低体温症を起こすことも十分考えられますので、日本全国の対策としてお考えいただきたい」
(2023年3月11日放送「news every.」より)
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