放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る問題です。高市大臣が9日も文書は捏造(ねつぞう)であると主張するなか、自民党内からもこの騒動を疑問視する声が上がっています。
■“放送法騒動” 高市氏の主張変わらず
自身に関わる部分は「捏造」だと繰り返しました。
経済安全保障担当・高市大臣:「ありもしなかったことを、あったかのように書かれている捏造だと、少し言葉はきついですが、そのように申し上げました」
さらに高市大臣は、こう主張しました。
経済安全保障担当・高市大臣:「礒崎さんからの働き掛けによって私の答弁が変わったかのように言われていますけど、それも違います。礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞きました」
「初めて礒崎元総理補佐官の名前を聞いた」とは、どういう意味なのでしょうか。
高市大臣と礒崎元補佐官は同じ自民党。さらには、元々は同じ派閥にいた間柄です。
高市大臣が知らなかったのは、礒崎元補佐官が放送行政に興味があったということなのでしょうか。
経済安全保障担当・高市大臣:「私が礒崎補佐官について、その名前もしくは放送行政に興味をお持ちだと知ったのは3月、今年の3月になってからでございます」
一部、正確性が確認できないとしつつも、政府が行政文書だと認めた文書。そこに記載されているのは、その礒崎元補佐官が安倍政権下の2014年から2015年にかけて、放送法を所管する総務省に対して働き掛けをする様子です。そして、その時に総務大臣を務めていたのが高市大臣です。
立憲民主党・長妻昭政調会長:「高市大臣においても捏造というような発言があったわけだが、高市大臣の時に部下である官僚が仮に捏造したとしたら、それは大臣の監督責任も強く問われる」
立憲民主党・吉田忠智議員:「この行政文書が作られた時の所管大臣としての責任をどのように感じておられるのか」
経済安全保障担当・高市大臣:「私は大臣ですから当然すべてに責任があると思いますが、ただ私に関する文書は私に対して確認も取られていないし、配布先からも外されています。対応のしようがなかったということでございます」
■高市氏「レクもない」と主張変えず
高市大臣は文書に記載されている官僚からの説明=レクそのものがなかったと主張しています。
立憲民主党・山岡達丸議員:「レク自体がなかったというのであれば、高市大臣が個別のテレビ局の名称を挙げて『苦しくない答弁の形にするか、それとも民法を相手に徹底抗戦するか』。具体的に述べたとして記録されているこの文書を総務官僚がなぜ作成できるとお考えでしょうか」
経済安全保障担当・高市大臣:「ご指摘の私の発言とされる内容につき、私は一切、発言をしておりません。『なぜ作成できるのか』というご質問を私に頂いても私にはお答えできません」
■“答弁姿勢”疑問視「あんな言い方」
完全に捏造だとする高市大臣に与党・自民党からも冷ややかな声が上がっています。
今回の文書によりますと、総務省に働き掛けを行っているのは礒崎元補佐官です。礒崎元補佐官も取材に対し、発言の詳細は覚えていないとしつつも「意見交換をしたのは事実」と認めています。
一方、放送法を所管する立場だった高市大臣には慎重な姿勢も見えます。
総務省が公開した行政文書:「最初、大臣は本件について、あまり記憶がなかった様子で、第一声は『本当にやるの?』」
さらに、以下の発言をしたと書かれています。
総務省が公開した行政文書:「これから安保法制とかやるのに大丈夫か。総理が『慎重に』と仰る時はやる気がない場合もある。一度、総理に直接、話をしたい」
自民党内からも国会での答弁の姿勢を疑問視する声が上がっています。
自民党・中堅議員:「高市大臣もあんな言い方しなくてもいいのにという気はする。役人的には表現の問題はあるかもしれないけど、全くゼロのものを書かないはずだ」
今の政権のダメージにはならないと見ているのか。自民党の派閥の長からは…。
安倍派・塩谷会長代理:「参議院の方はなんか予期せぬ、なんで今ごろ、こんな話題になっているのかなというのが一つあって」
自民党・麻生副総裁:「参議院においては、おかげさまで新年度の予算案の審議はそこそこ順調に行われてるんだと思ってております。まあ言い方は色々ありますけど」
自民党関係者:「高市大臣もさすがに今回の件で辞めることはないだろう。ただ、安倍さんがいなくなって高市さんを守る人間は完全にいなくなった。次の(内閣)改造でこのまま交代させられて、どんどん存在感も薄れていくんじゃないか」
一方、野党からは…。
野党議員:「高市さんは『捏造』と言い切っていますから。よほどの自信があるんでしょう。普通はあそこまで言えないでしょ。総務省に何か隠したいことがあるんじゃないか」
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