アメリカのシンクタンクが、中国による台湾侵攻のシミュレーションを行いました。それによると、制圧失敗には日本が要。在日米軍や自衛隊の基地が攻撃され、被害が出ると想定されています。中国は、台湾統一へ武力行使もあり得るとの姿勢を鮮明にしています。
■中国外相「あらゆる選択肢排除せず」
有働由美子キャスター
「在日米軍基地や自衛隊基地も中国の攻撃を受け、多数の艦船や航空機を失う――。これはアメリカのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が行った、中国による台湾侵攻シナリオの一部です。そんなシナリオが頭をよぎる発言が7日ありました」
「中国で、国会にあたる全国人民代表大会が開かれていて、習近平国家主席を新たに支えることになった秦剛(しん・ごう)外相が、台湾統一のために『あらゆる選択肢を排除しない』と述べました。武力行使もあり得るという意味です」
「そして、中国が今年の国防費を去年より7.2%もアップして、日本円で30兆円とすることも明らかにされました。とても気になります」
■有事に備え…市民が軍事・避難訓練
小野高弘・日本テレビ解説委員
「当の台湾の市民の中には、『有事の際に家族を守りたい』と一般の会社員が街での戦いを想定した軍事訓練をしたり、地下の駐車場で爆撃に備える避難訓練に臨んだりといった動きがあります」
有働キャスター
「緊迫感がありますが、さすがに、それほどすぐに危機ということではないですよね?」
小野委員
「確かに、危機が迫っているわけではありません。ただ、もし3年後の2026年に軍事攻撃があったらどうなるのか。アメリカのシンクタンク・戦略国際問題研究所が行ったシミュレーションが存在します」
■大半のシナリオで台湾制圧は「失敗」
小野委員
「中国軍が海から台湾に上陸する作戦です。台湾軍の徹底抗戦やアメリカ軍の即時参戦を基本的に想定しています。問題は、日本が巻き込まれることです」
「アメリカ軍が日本の基地を使用した場合、在日アメリカ軍の基地や自衛隊の基地が中国の攻撃を受けると想定されています。そして被害が出ます」
「結果としては、大半のシナリオで中国は台湾の制圧に失敗するとされています。ただし、日本が要です。台湾侵攻を阻止するには、日本にある基地を使用できるようにしなければいけないとも指摘されています」
有働キャスター
「このように武力攻撃する可能性はどのくらいなのでしょうか?」
小野委員
「軍事侵攻はあまりにもリスクが大きいため、可能性は低いという見方があります。(中国にとって)その他にも手段は考えられます。台湾を外交的に孤立させる、経済的に圧力をかけ続けるなどです。その中で軍事侵攻は、やはり最後の手段です」
■「最悪の事態」を回避するには?
有働キャスター
「軍事侵攻のような事態にならないようにするには、どうすればいいでしょうか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「残念ながら、さまざまな可能性や要因があり、日本がどうすれば避けられるかは、一概に言うのは非常に難しいと思います。そのため、この状況の中で防衛予算をアップさせることには、僕は賛成の立場を取っています」
「なぜなら例えば、(ウクライナの)ゼレンスキー大統領は武器供与がなかったら、すぐにロシアの侵攻に負けていたでしょうから。起こらないことがベストですが、起こるか起こらないかの選択肢が僕らの意思決定にない場合、起こった時に備えるべきだと思います」
有働キャスター
「今回はあくまでシミュレーション、仮定の話ですが、もし台湾有事が起きてしまうと、当然民間人も巻き込まれる可能性があります。そうした事態を避けるために最も大事なのは、(侵攻を)させないための外交、政治努力であることは変わりません」
(2023年3月7日放送「news zero」より)
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