安倍元総理の隣にいるのは当時の礒崎元総理補佐官。放送法の政治的公平性を巡り、元補佐官が新たな解釈を示すように働き掛けたとされる文書。7日に総務大臣は、この文書は総務省が作成したものだと認めました。どんな意味を持つのか、専門家に聞きました。
■総務大臣「すべて総務省の行政文書」
松本剛明総務大臣:「すべて総務省の行政文書であることが確認できましたので、本日午後を目指して、公表できるよう準備を進めております」
総務省の行政文書であると確認されたもの。それは先週、立憲民主党の小西議員が公表した内部文書です。
立憲民主党・小西洋之議員:「放送法の解釈変更と言わなければいけないし、変更というより、放送法の法規範を破壊するものだと思います」
文書に記されているのは安倍政権下、当時の礒崎総理補佐官が放送法の「政治的公平性」を巡り、総務省に対して行った働き掛けです。
放送法の政治的公平性について、政府は長く「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」と解釈してきました。しかし2015年5月、安倍政権は新たな解釈を示しました。
高市早苗総務大臣(当時):「一つの番組のみでも極端な場合におきましては一般論として、政治的に公平であることを確保しているとは認められないと考えます」
文書に記されたやり取りは、この答弁の数カ月前から始まります。礒崎補佐官の発言として「一つの番組でも明らかに、おかしい場合があるのではないか」などと、新たな解釈を示すように働き掛ける様子が記録されています。また、文書には当時の安倍総理が追認する様子もあります。
ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「この放送法4条によって、色んな各局が自由に番組を作っていた。安倍さんはそれはおかしいんじゃないかと。政権に対して、けんかを売るような場面もあると。それはメディアなんですから、当然のことなんですが、そこを断ち切って、このメディアをきちっと自分たちのコントロール下に置きたいと」
政府は2016年2月、「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」との見解を発表。国会では、放送局の電波停止の可能性にも言及しました。
高市早苗総務大臣(当時):「全く改善されない。公共の電波を使って全く改善されない。繰り返されるという場合に、それに対して何の対応もしないということを、ここで約束するわけには参りません」
ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「いざという場合に政府、政権側に停波の余地を残す権限を与えたのが、この政府統一見解だった。極端な例でいえば、この番組を潰したい、あのコメンテーターを潰したいとうことを権力側が抱いた時、一つひとつの番組の中で整合性を取らないと放送法違反だと認定できる余地を作った」
■当時の総務大臣 高市早苗氏の見解は
文書には高市大臣も登場します。
立憲小西議員が公開した文書:「苦しくない答弁の形にするか。それとも民放相手に徹底抗戦するか」
高市経済安保担当大臣:「全くそれは捏造(ねつぞう)文書だと、私は考えております」
立憲民主党・小西洋之議員:「仮にこれが捏造でなければ大臣、そして、議員を辞職するということでよろしいですね」
高市経済安保担当大臣:「結構ですよ」
文書は7日、行政文書であると確認されました。
高市経済安保担当大臣:「私に関しての部分は4枚でございますけれど、私はこれは不正確であると、理解を致しております。私に対して大臣を辞職する。議員を辞職するということを迫られるのであれば、場合によっては、この4枚の文書が完全に正確なものであるということを相手様も立証されなければならないんではないでしょうか」
松本総務大臣も記載内容の正確性を精査するとしています。
松本剛明総務大臣:「一部について関係者の認識が異なる部分があるなど、正確性が確認できないものがある。その部分については引き続き精査、確認を進めている」
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