「これがロシアのいう平和」侵攻から1年 写真に残し続けた“記憶”(2023年2月24日)

「これがロシアのいう平和」侵攻から1年 写真に残し続けた“記憶”(2023年2月24日)

 ウクライナ侵攻から24日で1年。激戦の爪痕で街は一変し、今もなお、東部で激しい攻防が続いています。戦争はいつ終わるのか。専門家は2つのシナリオを指摘します。

 ■侵攻から1年 激戦の最前線の町「バフムト」は

 まだ雪が残る町。ゴーストタウンと化していました。これが最前線の街“バフムト”の現状です。

 プーチン大統領:「特別軍事作戦の遂行が決議された」

 あの日から1年。突如、侵攻を始めたロシアは一気に東部を支配下に置きます。去年4月辺りを機に、徐々にウクライナが反撃を開始。押し返していきます。現在、ロシアとウクライナがせめぎ合う最前線がここバフムトです。

 ウクライナ兵:「ウクライナで戦った場所の中で、最も過酷な場所がバフムトです」

 人口7万ほどが、暮らしていた東部の街バフムト。夜には、クリスマスツリーのライトアップが街を照らします。それが一転…。

 屋根と床が、ごっそり無くなった建物。むきだしになったキッチンが、人々の営みがあったことを物語ります。人々が、汗を流していたであろうスポーツジム。そんな場所すら標的にされ、無残な姿をさらしています。およそ100年前に建てられた建物。携帯電話ショップが入っています。すっかり焼け焦げ、壁にこう記されていました。「バフムトはウクライナを愛しています」。

 ゼレンスキー大統領は訴えます。

 ゼレンスキー大統領:「このように、2022年2月24日は始まった。我々の人生で、最も長い一日。我々の現代史で最もつらい一日。だが、皆がやるべきことを分かっていた」

 それに答えるように、世界は青と黄色に染まりました。

 ■ミサイル直撃から再建 日常徐々に

 1年の節目を迎えたいま、人々は、日常を取り戻そうとしています。2015年。キーウに建てられた、20階建てのマンション。去年2月。人々が暮らしを営むだけの住宅にも、刃が向けられます。

 住民が撮った、直後の写真。夢と希望が詰まったマイホーム。骨組みだけを残し、無残な姿をさらしていました。

 1年の月日が経ち、人々は再建へ向け、動き出していました。

 マンションの中に入らせてもらうと、バスやトイレ。壁も新しく作り直されていました。このマンションに住むオレナさんも、笑顔が見えます。

 マンションに住む、オレナさん:「たくさんの国が、支援をしてくれています。日本も含めて感謝しています」

 キーウは少しずつ日常が戻りつつあります。

 キーウ在住、パルホメンコ・ボグダンさん:「この1年、市場が閉まっていたが今はこんな感じで、少しずつ街中の市場が再開されて、フルーツとかお肉とかが、販売されている」

 ただ、所々置かれたブロックや土のうが、いまだ戦時下であることを物語ります。

 キーウ在住、パルホメンコ・ボグダンさん:「完全に撤去しないのは、道路を封鎖したり、検問所を設置したり、するのが理由だと思う」

 キーウ以外はどうなっているのでしょうか。

 多くの女性や子どもが、避難したことで知られた、アゾフスタリ製鉄所もある、工業都市・マリウポリ。激戦が終わり、ロシアの支配下に置かれた町。木々や寺院が立ち並んでいた町は、実に9割が破壊され、その面影すら感じとることができません。最近の映像では、徹底抗戦が続けられた製鉄所の人影はまばらで、稼働している様子は見えません。街中では、廃墟と化した建物の解体が進んでいます。

 ■写真に残し続けた1年の“記憶” 「普通が幸せ」市民が伝える侵攻

 ウクライナの1年を撮り続けた写真家がいます。

 フォトジャーナリスト、アンドリー・ダブチャクさん:「自分の出身地、キーウが戦場になるとは思わなかった」

 侵攻前、道路の両側には、緑溢れる景色が広がっていたボロディアンカ。

 アンドリーさんが映した一枚。町からその面影がすっかり消え、モノトーンの世界が収められています。

 住民:「これがロシアの言う平和だ」

 侵攻前、ライトアップされ、多くの人が買い物を楽しんだであろう、イルピンのショッピングモール。

 同じ場所から、アンドリーさんが写した写真。廃墟と化した通りには、バリケードが張られ、物々しい街並みが収められています。目の前で、多くの人々が亡くなるのを目の当たりにしてきました。

 フォトジャーナリスト、アンドリー・ダブチャクさん:「目の前で子どもが死ぬのを見るのはつらかった。子どもの顔色が一瞬にして、白から黄色になるのを見た。とても怖かった」

 戦時下の人々の言葉が、当たり前の日常を過ごす私たちに響きます。

 キーウ在住、パルホメンコ・ボグダンさん:「今まで自分が思っていたより、幸せだったんだなと。好きな時に寝て、起きて仕事に行けて、仕事で昼食を食べる、そういうことが、本当は一番の幸せだったんだと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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