欧米などの経済制裁にもかかわらず、ロシア国内ではiPhoneの最新モデルなどが今も売られています。そこには制裁の“抜け道”とも指摘されるからくりがありました。
侵攻1年で街並みにも変化が出ている首都モスクワ。クレムリン前の高級デパートでは、グッチやプラダなど海外ブランドの直営店は閉店したままです。
それでも、市民からはこんな声が…
「制裁の影響は感じません。すべて足りています」
撤退したマクドナルドやスターバックスの事業を継いだロシアのチェーン店はすっかり定着し、スーパーマーケットにはロシア版コーラが並びます。
記者
「ロシアでは国民が制裁の影響を感じないよう、出荷が停止された外国の正規品についても入手できるようにする、ある対策がとられています」
市内のショッピングセンター。シャッターがおりたままの海外ブランドの店も目立つなか、複数の店で売られていたのは…
記者
「ありますね。iPhone14、iPhone14Proも販売されています」
アップルがロシアから撤退し、出荷を停止すると発表したあとに発売された最新モデルです。13万1400円からと、日本に比べて少々割高となっています。
なぜ、iPhoneが今も売られているのでしょうか。
店の関係者
「アメリカ、ヨーロッパ、日本、香港向けのiPhone14が流通しています。並行輸入で入ってきています。(Q.どのように?)中国経由です」
そのからくりは「並行輸入」です。
メーカー側の許可なしに、ロシアへの制裁に加わっていない第三国などを経由して製品を輸入するもので、ロシアでは違法とされていましたが、制裁を受け、去年、合法化に踏み切ったのです。
並行輸入のiPhone購入者
「日本からと聞きました。質が高い商品なので、不満は特にありません」
スマホ以外にも、ロシアへの出荷を停止したはずの外国製品が広く売られています。
ロシア政府が公表した並行輸入のリスト。政府の後押しもあり、その規模は200億ドル以上に達したということです。
ロシア プーチン大統領
「制裁による経済戦争が宣言され、彼らはロシアが完全に破壊されると期待していた。だが、それは起きなかった」
新年のメッセージで、制裁に対処できていると強調したプーチン氏。ただ、並行輸入には厳しい目も向けられています。
ラトビア カリンシュ首相
「制裁の抜け道に目を向けなくてはならない」
注目されているのが、並行輸入のリストに含まれている半導体です。ミサイルなどにも使用されるため、制裁対象となっています。今月初めには、アメリカがトルコに軍事転用が可能な製品をロシアに輸出すれば、制裁対象になると警告したとも伝えられています。
エネルギー輸出と引き換えに、先端技術の多くを海外からの輸入に頼ってきたロシア。その経済の先行きは不透明です。
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