ウクライナ侵攻などによる物価やエネルギーの高騰で、イギリスでは「暖房か食べ物か」どちらかを選ばざるを得ないほど困窮する人々も出てきています。長引く不況にあえぐイギリスの今を取材しました。
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イギリス文化の象徴ともいわれる「パブ」。イギリスの人々に欠かせない社交の場が今、危機に陥っています。
パブの経営者「月に電気代が30~40%急激に上がっている。暖房をつけるとガス代もかさむ。経営がますますきつくなってきています」
ウクライナ侵攻の影響で電気代とガス代が高騰し、経営を維持できない店が続出。去年後半、週に21軒のペースでパブが閉店。パブ文化の継承が危ぶまれる事態にもなっているのです。
さらに──
記者「ロンドン中心部の病院では看護師らが賃上げを求めて大規模なストライキを行っています」
去年末から続くストライキが全土に拡大。教師や医療関係者などもストライキに乗り出し、学校が休校になったり、病院で救急患者が何時間も待たされるなど、混乱が起きているのです。人々が訴えているのが物価高による生活苦。
看護師「政府にもっと給料を上げてほしい。暖まるか、食べるかといった選択を迫られないですむような給料を支払うべきです」
最近よく聞かれるのが「HEAT or EAT」という言葉。暖房か食べ物、どちらにお金を使うか選択を迫られているという痛切な訴えです。
イギリスでは、EU離脱などの影響で、物価の高騰に歯止めがかからず、この1年間でパスタは60%、植物油は65%も値上がりしました。光熱費が払えなくなって暖房を止められ、低体温症で亡くなる人も出ているといいます。
私たちが訪れたのはロンドン市内の教会。暖房がきいた場所で無償で提供される温かい飲み物や軽食。ここは、フードバンクにちなんで「ウォームバンク」と呼ばれ、生活が苦しい人々のために用意された場所です。
利用者「エネルギー価格の高騰で暖房をつけられない状況です。一つの場所に集まって食べ物や飲み物をいただけるのはありがたいです」
このウォームバンクは、地域の図書館や児童館、役場などにも設置されています。
運営スタッフ「多くの人がいま物価上昇に悩んでいて、寒さや孤独を感じています。人々に暖かい居場所を提供できればと考えています」
こうした場所は、一人暮らしの高齢者を孤独や孤立から救う場所にもなっているといいます。
今年、先進国の中で唯一のマイナス成長に陥ると予測されているイギリス。過去100年間で最長の不況に突入するとの予想も出ていて、長く暗いトンネルを抜け出せない状況が続いています。
(2023年2月11日放送「news every.」より)
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