日本人の海外流出が徐々に進んでいます。外国の永住権を取得する日本人が去年、過去最多を記録しました。なぜ日本を離れるのか、その背景を取材しました。
■アイスランドで永住権取得「リラックス感ある」
星空に広がるオーロラ、青い水面に映る山並み。美しい自然が広がる北欧の国アイスランドです。
現地の旅行会社で働く渡辺佐保さんは、この自然などに魅せられ、9年前に日本から移住し、永住権を取得したといいます。
アイスランドの旅行会社勤務・渡辺さん:「そもそもアイスランドが好きで、アイスランドに関する仕事をしていたので。アイスランドは、ここ10年以上、世界で1位の男女格差のない国なんですね。(勤務先では)管理職も女性の方が多いですね。とても働きやすくやらせてもらってます」
働きやすさの他にも…。
渡辺さん:「日本を歩いていると、何かいつも消費をしないといけないようなプレッシャーを感じてたんですけど、アイスランドにいると、元々選択肢自体が少ないので、そういうところから自由になれたリラックス感があります」
■増加の背景は?…専門家「物価上昇も賃金上がらないところ」
渡辺さんのように、外国の永住権を取得する人が年々増えています。
外務省の統計によりますと、去年、日本人の海外永住者は2万人ほど増え、およそ55万7000人に上り、過去最高となりました。
地域別では北米や西ヨーロッパ、オーストラリアなどが人気で、男女比では女性がおよそ62%と多くなっています。
海外永住者の増加の背景について専門家は、次のように話します。
福井県立大学・佐々井司教授:「物価が徐々に上がってきているにもかかわらず、賃金は一向に上がらないというようなところが、かなり大きいと思います。社会の寛容性、包摂性っていいますかね。私もこの国であれば、あるいはこの地域であれば居場所があるという、そういった実感を持てる。そういう要素も海外に行かれる方が増えている一つの理由」
一方で渡辺さんは、実際にその国に住んでみなければ分からない面もあると話しています。
渡辺さん:「風邪ぐらいだと病院にまず入れてもらえないというか、(家で)寝ているように言われるんですね。海外が最高でもないし、日本が最高でもないし、どこも絶対最高じゃないんですけども。生きやすいというか、呼吸がしやすい場所にいると、我慢しなきゃいけないことを頑張れる力が増えるんじゃないかなと思う」
(「グッド!モーニング」2023年1月27日放送分より)
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