昭和の時代に建てられたお風呂が付いていない賃貸物件、いわゆる「風呂なし物件」が今、若者たちから注目されています。背景には、家賃の安さだけはない、令和の若者に“刺さる魅力”がありました。
■家賃3.2万円…「風呂あり物件」の半額
都内では、一律ワンコインで楽しむことができる銭湯。東京・荒川区の銭湯には、高齢者に混じって、多くの若い人たちの姿がありました。
男性:「ゆっくり考え事ができるので、家でも考え事できますけど。銭湯だと水風呂と繰り返すことで、結構リセットされるので」
実は最近、銭湯を楽しむ若者が増え、あえて風呂が付いていない、風呂なし物件を選ぶ人も増加しているというのです。
風呂なし物件に住む男性(26):「家賃も安いし、上京するなら、ここでいいかなっていうのと。元々、銭湯が好きだったので、いいんじゃないかなと」
介護の仕事をしている26歳の野中翔太さん。2年前に上京して以来、風呂なし物件で一人暮らしをしています。
練馬駅まで徒歩10分の好立地。6畳1間にキッチンが付いて、家賃は月に3万2000円。周辺の「風呂あり物件」と比べると、およそ半額です。
男性(26):「築50年とか60年になると思うんですけど。昭和レトロとか好きなので、むしろ木の感じも気に入っていて。マイナスなイメージは、特になかった」
特に、この男性が気に入っているのが…。
男性(26):「昭和ガラスと言うんですかね。ガラスに柄が付いていて。テーマがある。これが『銀河』。玄関も紅葉柄。扉は古都(こと)。調べてみると、すごく面白くて」
■“風呂なし”しか選べない人「ほとんどいない」
風呂なし物件を集めたウェブサイトも人気を集めています。
「東京銭湯ふ動産」は、風呂が付いていない賃貸物件を検索できる不動産サイト。物件ごとに、最寄り駅ならぬ“最寄り銭湯”が記載されています。
「東京銭湯ふ動産」を運営している女性:「風呂なし物件は、東京で探すと、思った以上にたくさんあって。渋谷や新宿など都心の良い場所に、安く借りられる物件がたくさん」
サイトを運営している女性は、好奇心から風呂なし物件を選ぶ若者が増えていると話します。
「東京銭湯ふ動産」を運営している女性:「経済的に大変だから、風呂なししか選べない人は、ほとんどいない。固定費を抑えられるなら、風呂なしでも住めるかも。そうしたら、自分の好きなものにお金使えるし、株とか貯蓄とか、自分たちの選択を楽しんでいる方が多い」
■落ち込んだ時も…風呂入ったら“気分軽く”
この男性も、風呂なし物件暮らしを楽しんでいます。
男性(23):「(友人から)昭和…とか。下積みのお笑い芸人の部屋みたいと言われる。でも、好評ではありますね。居心地はいいって」
大学卒業後に上京した23歳の男性。2年ほど、この物件に住んでいます。
6畳の和室に4畳のキッチンが付いた風呂なし物件。築48年ですが、JR山手線の田端駅まで徒歩18分という立地で、家賃は月に3万3000円です。
おかげで、貯蓄や趣味に多くのお金を回せるようになったといいます。
一方で、こんな悩みもあるそうです。
男性(23):「すきま風が多いので。この季節は若干厳しい」
そこで、寒さ対策として、実家から取り寄せたのが…。
男性(23):「去年ちょっと(寒さに)耐えきれなかったので、実家から送ってもらったんですけど。こんな感じで、はんてん着て。毛布もこうやって。こういう感じで、過ごしてますね」
そんな大内さんの身も心も温めてくれるのが、徒歩5分ほどの場所にある銭湯「千代の湯」です。
男性(23):「(Q.雨の日はおっくう?)このくらいの雨ならいいですけど。どしゃぶりの時とか、嫌だなと思ったりします」
それでも銭湯に通う理由は…。
男性(23):「常連の方と、店の方が喋ってるのを見て。ちょっと、ほっこりしたり…」
常連や番台さんとの交流も醍醐(だいご)味なのだそう。普段は仕事帰りに、千代の湯を利用している大内さん。近くには、他に2カ所の銭湯があり、それぞれの違いを楽しんでいるといいます。
そして、一番の楽しみは、大きなお風呂です。
男性(23):「気持ち良いです。毎日、こういう大きいお風呂に入ってリラックスできるというのは、ちょっと落ち込んだりした時も、お風呂入ってスッキリしたら気分が軽くなる。そういうところも良い」
(「グッド!モーニング」2023年1月17日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp