年金受給者の“生活実態”…夫婦で“月3万円” 週3日パートも75歳妻「今は生きがい」【Jの追跡】(2022年12月31日)

年金受給者の“生活実態”…夫婦で“月3万円” 週3日パートも75歳妻「今は生きがい」【Jの追跡】(2022年12月31日)

ある試算によると、昨年度と比べ今年度は、家計への負担が9万6000円増加するとも言われています。生活必需品の支出の割合が高い高齢者にとって、苦しい1年となりました。今年最後の年金を一体、何に使うのか。年金受給者の生活を取材しました。

■年金支給額“減”も…物価上昇で家計負担“増”

今月15日の年金支給日。都内にある激安で人気のスーパーには、開店時間前からお年寄りが集まり行列ができていました。

こちらのスーパーでは、年金生活のお年寄りにも安い商品をと、支給日に合わせて特売を実施しています。年金支給日は、特にお寿司や海産物がよく売れるといいます。

皆さん、年金はいくらもらっているか。そして、物価高の生活への影響はどうなのでしょうか?

75歳女性:「(Q.年金支給額は?)2カ月で12万円から13万円くらいしか、いかないですね」「(Q.旦那さんはいくら?)厚生年金入ってたんで、10年くらい。ちょっと高めで、16万円くらいかな、2カ月で」

夫婦で年金が月14万円だといいます。

75歳女性:「食費をなるべく安く、あまり買い物を行かないようにして。いらないものまで買っちゃうから結局、出費が多くなる」

一人暮らしの81歳女性の年金額はいくらなのでしょうか?

81歳女性:「月でしょ?3万円くらい」「皆、節約ですよ。自分が出掛けること自体がなくなったし、楽しいことも皆、近場で済ましてる」

今年度の年金支給額は、前年度と比べて国民年金で年3100円、厚生年金で年1万800円の減額になっているにもかかわらず、物価上昇の家計への負担は9万6000円も増えているといいます。

■月15万円支給で一人暮らし「余計な物買えない」

とても厳しい1年でしたが皆さん、今年最後の年金は、何に使うのでしょうか?

公務員だったという68歳の女性の年金支給額はおよそ20万円。年末年始の使い道は、定番の…。

68歳女性:「お年玉。今、高いですからね。5000円以上あげなきゃいけないでしょ、中学生以上なら。私の時代とは全然違うから、少ないと喜んでくれない」

続いては、84歳の夫と暮らす82歳の女性。夫婦の年金額はいくらなのでしょうか?

82歳女性:「私が国民年金だけで、月10万円。旦那も一緒」

公的年金の他に、積み立ててきた年金保険もあり、生活費は夫婦2人でおよそ月30万円。今年最後の年金で、買う物はなんでしょうか?

82歳女性:「毎年1回、娘に良いところの牛肉を1キロ贈ってあげる。結構高い、2万円近くいく」

年末には必ず、横浜で暮らす娘に高級牛肉をプレゼントするといいます。

82歳女性:「1回バツイチになってる娘なので、幸せになってもらいたい気持ちも込めて」

現在もトラックドライバーとして働く71歳の男性の年金額はいくらなのでしょうか。

71歳男性:「結構少ないな、減ったから。(夫婦)2人合わせて20万円くらいかな。孫が2人いるんで、孫の物を買ったり。お年玉もあげるんだけど、クリスマスもあるし、洋服を買った。」

84歳一人暮らしの女性は、月の年金支給額はいくらなのでしょうか?

84歳女性:「15万円くらい」「(Q.師走の時期、どんな物に使いますか?)そんなの生活費に決まってるじゃない!何も余計な物買えない。一日1000円から2000円じゃ食べていけない」

■来年度の支給額“増”も…物価上昇で経済的負担に

止まらない物価上昇。その物価や賃金を反映する年金ですが、来年度の支給額はどうなるのでしょうか?

みずほリサーチ&テクノロジーズ 主席エコノミスト・酒井才介氏:「2023年度の年金の改定率は、プラスになることは間違いないです。確かに年金支給額が増えるが、抑えられたプラス幅になるので。もらえる年金の給付額以上に、物価の伸びが上回っている」

試算によると、来年度の年金額は、国民年金で年間およそ1万5000円の増加、厚生年金でおよそ5万円増加します。

しかし、物価上昇も続き、家計負担は年間4万円増え、今年度の9万6000円の増加に加え、さらなる経済的負担となるといいます。

酒井氏:「生活が逼迫(ひっぱく)されやすい状況だと思います」

■夫婦で月“3万円”…週3日パートで8万円稼ぐ

年金支給日にセールを行うスーパーで出会ったのは、パートで働く吉川順子さん(75)。吉川さんの仕事は何なのでしょうか?

吉川さん:「これから配達に伺います」「(Q.配達に行くんですか?)はい」「(Q.年金はもらっている?)年金はもらってますけど、月でいうと1万3000円くらい。私達バカだったので、10年しかかけてない」

1カ月の年金は、夫婦で3万円程度。保険料を納めなかった時期が長かったためだといいます。

吉川さん:「(何で払わなかった?)言われた通り、旦那に『そんなのかけてもしょうがねえよ』って」

そのため、75歳になった今も週に3日のパートで、およそ8万円稼いでいる吉川さん。年金支給日は大忙し。お年寄りからの注文が増え、配達する商品は普段の2倍になります。

10キロ以上もある段ボールを5箱も運びます。中でも、一番大変なのが。エレベーターのないマンションです。階段を使って運びます。この日は10件、配達しました。

吉川さん:「(生活は)ツライけど、お客さんの顔を見ると、めちゃくちゃ楽しい。色んな人と出会えるし」

■“生活費”のためのパートも「今では生きがいに」

そんな吉川さんの生活は?自宅にお邪魔しました。

築35年の一軒家、84歳になる夫と50代の息子の3人で暮らしています。実は、吉川さんは、9年前まで夫と2人で金型の会社を経営していました。

吉川さん:「儲かってましたよ。月に800万円から900万円売り上げてたから」

売り上げが良かったころに年金の保険料を納めていなかったため、現在の支給額は月に1万3000円程度になったといいます。

吉川さん:「悲しいけど、それは自分たちがやらなかったことなので、しょうがないですね」

今年の生活費を聞くと、食費や光熱費は値上げラッシュで9万円もアップ。84歳になる夫の康信さんも生活費の足しにと、自宅で内職をしています。

吉川さん:「こういうふうに、くっ付いてるんですよ。これを取るだけの仕事」

1個0.8円で月に3万円の収入になります。

夫・康信さん:「悲しい。情けないよ」

しかし、「妻だけ働かせては申し訳ない」と内職を続けているそうです。

生活費のために始めたパートの仕事ですが、お客さんと触れ合えることで、今では生きがいにもなっているといいます。

吉川さん:「でも、生きてるんだから、いいじゃん」

止まりそうにない物価上昇。年金生活者にとって、まだまだ厳しい状況が続きそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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