ロシア国防省の幹部会議で、プーチン大統領は21日、新型大陸間弾道ミサイル「サルマト」を近く実戦配備すると発表したうえで、「ウクライナを支援するNATO・北大西洋条約機構が潜在的な軍事力をロシアに向けている」と欧米を批判した。新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」は、射程は約1.8万キロ、10個以上の核弾頭の搭載が可能で、様々な軌道を描くことでできる。ミサイル防衛システムを掻い潜り、北極・南極経由でも米国攻撃が可能となる。防衛省防衛研究所の山添博史氏は、「サルマト」の配備について、米国に対する反撃力向上にはならないとし、「米国対抗の姿勢を鮮明にしたロシア国内向けのアピールの側面が強い」と分析する。
プーチン大統領が核戦力に言及する中、中国の習近平国家主席は自ら苦言を呈している。11月4日、ショルツ独首相と会談した際、「国際社会は核兵器の使用や脅しに対して、共同で反対すべき」と発言。11月14日の米中首脳会談では、バイデン米大統領と共に、「ウクライナ侵略を続けるロシアによる核兵器の威嚇・使用に反対する」とロシアに警鐘を鳴らすシグナルを送った。さらに、習主席は21日、訪中したロシアのメドベージェフ前大統領と会談、ウクライナ情勢に関して、「政治的な手段を通じて安全保障問題を解決することを期待する」と対話による解決の重要性を強調した。核戦略強化の動きが確認される中、ロシアの訪中から見える意図と狙いとは。
ロシアによる“首都キーウ再侵攻”を警戒する声が高まる。ウクライナのレズニコフ国防相は、ロシアが来年2月にもキーウ方面に再侵攻する可能性があると指摘、ザルジニー総司令官も、ロシア軍が20万人規模の新たな部隊を準備し、早ければ来年1月にもベラルーシから大規模な攻撃を始める可能性があると語った。ベラルーシ国内ではロシアの動きが活発化する。ベラルーシの独立系軍事監視団体によると、19日と20日、戦車や輸送用車両など軍用車両などが国内を移動する様子が確認された。また、米戦争研究所は、ロシア国防省が11月にベラルーシに野戦病院の設営を発表、23日には、野戦病院を追加設営する計画を明らかに。通常、訓練や演習には野戦病院は必要とされず、同研究所は、後方支援の整備に取り組むロシアが戦闘準備に入った可能性を示すものと分析する。
プーチン大統領は19日、同盟ベラルーシを3年ぶりに訪問した。プーチン大統領は会見で、両国による軍事面での連携強化を図るとともに、両国間で統合された防御空間を構築することなどを発表。また、戦争研究所は、ロシアはベラルーシに防空システム「S-400」を供与したと明らかにした。「S-400」はロシアが開発した地対空ミサイルで、航空機のほか巡航ミサイル等も迎撃が可能とされる。ベラルーシへの防空システムの供与は、キーウ再侵攻の予兆なのか。ロシア情勢及び安全保障に精通する有識者とともに、キーウ再侵攻に対する懸念、国際社会で孤立するプーチンの焦燥などを考察する。
★ゲスト:山添博史(防衛省防衛研究所)、東野篤子(筑波大学教授)
★アンカー…片山善博(大正大学地域構想研究所所長)
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