車は、雪に埋まっていました。20日、自宅前に止まった車の中で27歳の女性が見つかり、まもなく死亡が確認されました。女性が車内で暖を取り、一酸化炭素中毒で死亡したとみられています。
■停電続く新潟…“炭こたつ”で極寒しのぐ
20日午後7時ごろの新潟県長岡市内の様子です。真っ暗な道路を多くの車が行き交っています。
この辺りでは、19日午前9時ごろから停電が続いています。
長岡市の20日の最高気温は1.3℃。長年、この家に住んでいる夫婦は…。
夫(78):「(Q.今、2人で何を?)やることないんで、2人でにらめっこしていた」
電気がないなか、どうやって暖を取っているのでしょうか?
妻:「(Q.こたつは暖かい?)暖かい。豆炭こたつ」「(Q.暖かい。中は、どうなっている?)見たことないでしょ」
夫:「真っ赤になったのをこたつに」
さらに、食事の時には…。
夫:「ご飯食べる時も、これを着けて食べてた。ご飯は、ガスで炊くから」
東北電力によりますと、新潟県内では21日午前6時現在、およそ8900戸で停電が続いています。
■国道で立ち往生「15時間待ち」…差し入れも
交通への影響も出ています。
新潟県内では19日の昼から、一時800台もの車が雪で立ち往生する事態となりました。
物流の重要ルートでもある長岡市や柏崎市などを通る幹線道路、国道8号と17号では、20日も…。
トラック運転手:「(Q.どれぐらい並んでる?)15時間」「(Q.旧道があるけど、国道を使う理由は?)多分、変わんないと思ったから。こっちも渋滞だと、向こうも皆、回ってるかなと」
車内で、身動きが取れないドライバーに、近隣の人がお菓子を配って回る場面もありました。
近くで店を営む人:「これ、好きなだけ取って下さい。トイレもあるんで、使って下さい」
また、農園の人はイチゴを配っていました。
ファームくじらなみ・吉原有希子さん:「出荷が、きのうも、きょう、あすも無理だったので。皆さんに配ろうかなと」
新潟県は、柏崎市、長岡市、小千谷市、魚沼市に「災害救助法」を適用し、陸上自衛隊の災害派遣を要請しました。
■大雪で死者 雪に埋もれた車の中で…
大雪による死者も出ています。
20日、柏崎市では、荒川紗夜嘉さん(27)が、自宅前の雪に埋もれた車の中で死亡しているのが見つかりました。
発見時、車のマフラーが雪で埋まっていて、警察は、一酸化炭素中毒で死亡したとみて調べています。
この地域は停電が続いていて、荒川さんは、車の中で暖を取っていたとみられます。
同じく柏崎市では、除雪作業をしていたとみられる85歳の男性が用水路に転落し、死亡しました。
■「スタック」原因? “くぼみ”で空回り
12月としては、38年ぶりという記録的な大雪に見舞われた新潟県。柏崎市周辺では、半日で50センチ以上雪が積もりました。
想定を超える雪のため、起きてしまった大規模な立ち往生。さらに専門家は、「スタック」と呼ばれる現象が多発したことが、原因の一つではないかと指摘します。
福井大学 工学系部門・藤本明宏准教授:「穴が開いているので、そこにタイヤが落ちて、空転を引き起こす。穴がどんどん成長していき、そこに大型車がはまってしまうと、タイヤが空転して動けなくなる」
「スタック」とは、タイヤが雪のくぼみにはまるなどして、空回りしてしまう現象です。
雪道を走る車が「信号待ち」などで停止すると、タイヤの温度や車の重みで路面に小さな「くぼみ」ができます。その上を車が通ると、別の車が再び「くぼみ」にはまり、徐々に深くなっていきます。
最終的に「くぼみ」を乗り越えられない車が「スタック」を起こし、立ち往生してしまうというのです。
■脱出方法は?専門家「傾斜部分取り除き…」
20日の中継リポートでも、こんな光景が見られました。
テレビ朝日・武隈光希アナウンサー:「ゴツゴツとして雪が固まっているので、対向車線の車が上下に揺れながら、時にはハンドルを取られそうになりながら進んでいます」
こうした状況が、道の至る所で起きていたと思われます。
藤本准教授:「仮に脱出したとしても、その間に後続車はずっと降雪にさらされている。その間に、車の周りが雪で囲まれてしまって、他の車両も動けなくなる」
では、「スタック」してしまったら、どうすればいいのでしょうか?
藤本准教授:「タイヤの前にある傾斜部分を取り除くとか、タイヤと雪の間に摩擦力が高いもの、布や専用の装置を挟み込む。シンプルに、後ろから押してもらうのも有効な手段」
(「グッド!モーニング」2022年12月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp