ゼロコロナ政策を緩和し感染者が急増している中国で、一部の地方政府が「軽症や無症状の場合は、通常通り出勤を可能とする」という通達を出しました。
■“コロナに効く”デマで「レモン奪い合い」
住民たちが我先にと手を伸ばして奪い合っているものは「レモン」です。
中国では、薬不足と感染の不安から、“コロナにレモンが効く”というデマが拡大。街では「レモンの奪い合い」が起きていました。
撮影者:「まさかの出来事だよ。レモン業者にツキが回ってきた。今、レモンの値段はいくらですか?」「一箱400元(約7600円)。北京では700~800元(約1万5000円)するよ」
つい最近まで一箱およそ3800円だったレモンが、およそ7600円と倍以上に値上がりしているといいます。
■日本の風邪薬…SNSに“大量転売動画”
アメリカのCNNは、「中国が準備不足のままゼロコロナ政策を突如として打ち切ったことで、100万人近い死者が出る可能性があるとする予想が発表された」と報じています。
そんな中国の街中で今増えているのが、青空点滴です。
中国・湖北省で撮影された映像では、病院の前に並べられた椅子に座り点滴を行う多くの人の姿があります。
湖北省の12月の平均最低気温は2度。ダウンジャケットなど防寒着を着こんでいますが、中にはぐったりしている人の姿も見えます。
さらに、街中では、ドライブスルー点滴とみられる映像も。
SNSから:「よく見てくれ。感染状況がこんなにもひどい。この人たち、病院に来たのに、点滴を車の外に掛けて受けている。奇妙な光景だ」
薬局でも、混乱が起きています。
客:「子どもが熱が出たから、解熱剤を買いに来たのに、薬があるのに売ってくれない。こんなに薬があるのに、売らないって言うんですね」
店員:「何をしに来ているの?電話するぞ。頭にきた!」
現地メディアによると、一部の地域では、解熱剤は箱ではなく、ばら売りと決められていて、購入できるのは1週間につき1人6錠まで。中国各地で風邪薬などの買い占めが起きているため、品不足が続いているといいます。
SNSでは、「日本の大阪倉庫から発送しました。購入したい方は、連絡して下さい」という書き込みも。
コメントと共に投稿された日本で撮影されたとみられる動画には、部屋の中に大量に並べられた日本の風邪薬があります。さらに奥にも、製薬会社の名前が書かれた段ボール箱が山積みとなっていました。
■困惑…重慶市政府「無症状や軽症者は、通常通り出勤可能」
中国メディアによると、感染の急拡大により医療現場に患者が殺到。SNSでは人手不足を訴える映像が投稿されています。
SNSから:「医師たちも陽性反応を示したが、点滴している間に患者を診ている」
これまで臨時のPCR検査場として各地に設置されたプレハブボックスが、簡単な診察や薬の処方などを行う臨時の発熱診療所に変更されました。
感染者の急増で、企業などでは深刻な人手不足が起きているといいます。
そんななか、「無症状や軽症の場合は、通常通り出勤可能」という、驚きの内容が発表されました。
中国・重慶市政府は19日、新型コロナ対策をより最適化するとして、陽性者であっても無症状や軽症であれば、会社への出社が可能だと通達したのです。
さらに、PCR検査についても「不必要」な検査や、陰性証明を求めたりしないよう市民に呼び掛けを行いました。
中国の重慶市は、人口3200万人で中国最大規模の都市。感染者の急増を受け、先月まで、事実上のロックダウンが行われていて、先月下旬には新たな隔離施設が完成したばかりです。
わずか1カ月での“方針転換”に、SNSからは「全国民に感染を強制」「陽性者になっても出勤するような政策、全く理解できない」「会社からは休んではダメと言われ、通常の勤務を要求される。労働法はあってないようなものだ」など、困惑と怒りの声があふれています。
感染者であっても無症状や軽症であれば出社を求める通達は、浙江省や安徽省でも出されているといいます。
20日、中国外務省の報道官は、これまでのゼロコロナ政策と、政策の緩和を自画自賛。
外務省・毛寧副報道局長:「中国の感染対策は、過去3年間で最大限に人民の生命と健康を守り、最小のコストで最大の効果を得る目標を実現した。現在は、ウイルスの新たな変化に基づき、中国は感染対策を最適化しつつあり、感染対策と経済の発展を統括している」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2022年12月22日放送分より)
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