“日本の秘境”に外国人殺到!?…“訪日客8割”宿も 魅力は“日本の昔暮らし”体験(2022年12月17日)

“日本の秘境”に外国人殺到!?…“訪日客8割”宿も 魅力は“日本の昔暮らし”体験(2022年12月17日)

住民わずか25人の山奥の村に、なぜか外国人観光客が殺到。入国制限の緩和後“日本の秘境”が、多くの外国人でにぎわっています。

なんと客の8割が外国人観光客という人気宿もありました。秘境だからこそ、都会では味わえない「特別な日本体験」とは?

■日本三大秘境「祖谷渓谷」 緩和で“訪日客”戻る

徳島空港から車でおよそ2時間。険しい山々に囲まれた三好市「祖谷渓谷」。「日本三大秘境」の一つとして知られ、雄大な自然が織りなす絶景スポットが点在するこの地に…。

フランス人観光客:「とてもきれいです。色鮮やかで豊かな自然を満喫したくて、ここにやって来たの」

入国制限が緩和されて以降、たくさんの外国人観光客が戻ってきています。

アメリカ人観光客:「美しいからですよ!関東や関西と比べたら不便な田舎だけど、また違った日本を体験できる」

秘境・祖谷を代表する「かずら橋」にも、たくさんの外国人の姿がありました。この橋には、平家の落武者が追っ手が迫ってきた時に、すぐ切り落とせるようにと、植物を編んで作ったという言い伝えもあります。

ポーランド人観光客:「歴史が感じられる特別な橋だね。かつて誰がこの橋を渡ったのかと、思いをはせることができるよ」

■住人25人の集落にも 目当ては“カカシ約400体”

外国人の姿は、住人わずか25人の集落にもありました。

アメリカ人観光客:「美しいからですよ!都会よりも断然良いと思います」

お目当ては、至る所に置かれた人間そっくりのカカシ。住人よりはるかに多い、およそ400体が点在しています。

シンガポール人観光客:「たくさんのカカシは、かつて村に住んでいた人たちだそうです」

大量のカカシは、この集落に住む綾野月美さんがおよそ19年前から一体一体手作りし設置。かつては大勢が暮らし、にぎやかだった村の様子を再現しているのです。

シンガポール人観光客:「とてもユニークだ!畑を耕す人がいたり、通学する子どもがいたり。昔の様子が分かるね」「歴史をよみがえってくる」「村のすべてを生き返らせている。かつての姿に」

シンガポールの家族は、日本の歴史に触れられる場所であると知り、やって来たといいます。

綾野さん:「“また来て下さい”どう言うたら?カムバック?」「このごろ、また外国の方が大勢来られるようになって良かったです。色々な人とお話しできたり、お会いできるから楽しいです」

雄大な自然を海外に向けPRし、コロナ禍以前には、年間5万人以上の外国人観光客が訪れ、インバウンドの先進地区と呼ばれた秘境・祖谷。にぎわいを取り戻し、地元は沸いています。

スタッフ:「すごくうれしいです。私も(コロナ禍の)3年間は“冬眠状態”だったので。本当に来てくれるので、涙が出るぐらい。活気があってすごくうれしい」

■“日本の昔暮らし”体験宿 宿泊客“8割外国人”

そんななか、活気に沸く秘境からさらに山奥に、海外からの観光客が次々と訪れる秘境宿があるといいます。

その宿は、「かずら橋」などの観光スポットから車で山道をさらに20分。「奥祖谷」と呼ばれる“秘境中の秘境”にありました。

それが、2014年開業の「カジヤ祖谷浪漫亭」です。築80年の古民家を改装した「一日1組限定」の宿です。

フランス人宿泊客:「旅行サイトで、この宿を見つけたんだ!“特別な冒険になる”と紹介されていました」

先月は、宿泊した8割が外国人。しかも世界8カ国からやって来たというから驚きです。

切り盛りするのは「シノさん」こと、四宮康貴さん(64)です。

ドイツ人宿泊客:「すてきな雰囲気で、とても落ち着くよ」

この日、宿泊していたのは、ドイツからの旅行者2人組。ローベルトさん(32)とダビッドさん(33)です。

ダビッドさん:「この宿を選んだのは、日本の伝統的な環境で、ユニークな滞在を提供してくれると知ったからだよ」

6回目の来日だという「日本好き」の2人。これまでの旅行とは全く違う体験ができる宿と知りやって来たといいます。

到着早々、「シノさん」の案内で外に連れ出される2人。すると、なぜかエプロンにヘルメット姿…これは一体?

四宮さん:「テイクワン バック。テイクツー チェック、チェック」

なんと、まき割り!?まきを使って五右衛門風呂を沸かすのです。実は宿のウリは、「自然と共生するニッポンの昔暮らし」を体験できることなのです。

ローベルトさん:「とても良いね。とてもユニークだ!」

ダビッドさん:「普段は頭をたくさん使う仕事だから、休暇中は、こういう肉体労働が楽しいよ」

2人の職業は「科学者」だとか!ダビットさんはなんと、辺りが暗くなるまで2時間も没頭していました。

ダビッドさん:「毎日忙しくてストレスを感じているんだ。これは良いね」

まきを使い、かまどでお米を炊くのは、ローベルトさん。

ローベルトさん:「こんな炊き方は初めてだよ」

■口コミから集まる 宿主「思い出作りのお手伝い」

一日1組だけが味わえる特別な「ニッポン体験」が、日本通の外国人に大うけ。海外向けの宿泊予約サイトで、10点満点中9.6点と高評価なのです。

ブッキング・ドットコム:「日本の田舎の町の生活がどういうものか、どう暮らしていたか学ぶことができました」「シノさんが体験させてくれることは、本当に冒険。祖谷渓谷での時間は想像以上でした」

口コミを目にし、各国から外国人がやって来ているのです。さらに…。

オーストラリア人の口コミより:「シノさんは、素晴らしい宿主です。強くオススメします」

四宮さん:「ホットスパ、ホットスパ。リラックス、リフレッシュ」

英語は単語しか話せないというシノさんですが、真心と手作り料理でオモテナシ。

四宮さん:「ハッピーバースデートゥーユー アワオドリ」

徳島のブランド地鶏でサプライズプレゼント。

ダビッドさん:「日本で過ごした夜では、一番の思い出になるでしょう。いつまでも記憶に残ると思います」

四宮さん:「国境、国籍を超えて世界中から来て頂けるわけなんですよね。いかに楽しんでもらえるか、思い出作りのお手伝いと思っている」

■コロナ禍で客ゼロ…救ったのは“日本在住の外国人”

以前は、香川県でサラリーマンをしていたシノさん。

旅行で訪れた際に目にした奥祖谷の雲海に心を奪われたのが、秘境と呼ばれるこの場所で宿を始めたきっかけでした。

自然の中、都会ではできない体験をウリにした宿は、日本好きの外国人の間で評判になりました。しかし、コロナ禍では海外からの客がゼロになってしまいました。

四宮さん:「もうキャンセルの嵐だった。宿泊客ゼロですね。海外からのキャンセル200件近く…」

そんな苦しい時期に宿泊してくれたのが、日本に住む外国人たち。以前泊まった外国人たちによる口コミで訪れる人が増えたのだといいます。

四宮さん:「“あぁ、つながっているんだな”って感じています。支えられていますよね、幸せだなと思っています」

日本が大好きな外国人に、日本をもっと好きになってほしい。そんな思いで、コロナ禍の恩返しをしていきたいといいます。

(「スーパーJチャンネル」2022年12月15日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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